道東の山旅 その1( 雌阿寒岳、雄阿寒岳編)

2017年7月1-2日 道東の山旅 その1( 雌阿寒岳、雄阿寒岳編)

昨年登った北海道の山々があまりに素晴らしかったので今年も早くから計画を練っていた。
トムラウシから見えた石狩岳やニペソツ山などは特に印象に残っていて、芦別岳、夕張岳を絡めた登山計画を立てた。ところが宿泊予定のユースホステルから電話があり、何と昨年の大雨でこれらの山へ続く林道が崩壊していて復旧の目処が立っていない事が判明したのだ。この為、急遽道東の山、雌阿寒岳、斜里岳、羅臼岳に変更する事にしたのである。

これらの山は夫々日帰り登山となるので、女満別空港からレンタカーを利用した4泊5日の旅を計画した。
ただ知床では羅臼岳~硫黄岳まで1泊2日の縦走も考えられたが、途中に小屋が無くこの為だけにテント持参するのも大変だし、ヒグマの生息地である事も勘案してリスクの少ない羅臼岳の日帰り登山とする事にした。

本来であれば最も標高差があり時間が掛かる羅臼岳を最初に登りたかったのだが、天気による日程調整が必要な場合を想定して唯一到着日に登山可能な雌阿寒岳を初日又は二日目に持ってきて対応するつもりで早朝の飛行機を予約した。

実際二日目の天気が怪しかったので初日に雌阿寒岳を登ったのだが、結果的には二日目以降雄阿寒岳、斜里岳、羅臼岳と連日登る事が出来た。
斜里岳登山では雲が多く展望が利かなかったものの、それ以外はそこそこの晴天に恵まれて特に羅臼岳では雲海から突き出た北方領土の島々が遠望出来たし、この時期に相応しい沢山の花々や各地から訪れていた人たちとの出会いもあり楽しい道東の山旅となったのである。
本州は梅雨のこの時期、北海道の山旅は外せない恒例行事になりそうである。

阿寒富士山頂に登ってみると大きな噴火口から噴煙を上げるでっかい雌阿寒岳が一望できた。

道東の山旅 その1は、雌阿寒岳登山及び当初計画に無かった雄阿寒岳への登山記である。

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<1日目:雌阿寒岳登山>

数日前から天気予報では、雌阿寒岳に登山予定の二日目の予報が悪かった。
そこで当初の目論見通り初日に雌阿寒岳を登ろうと空港から一路雌阿寒温泉へと向かった。

女満別空港に9時頃到着して空港近くでレンタカーを借りると、雌阿寒温泉へはR240一本道で迷うことは無かった。

雌阿寒温泉にある駐車場に着いたのは11時頃だった。ほぼ満車だったが運良く駐車できた。
早速準備をして車道を少し戻ったところにある登山口へと向かった。


登山口には立派な案内板と入山ポストが立っており、ここで入山届を記入する。
今回はオンネトー側へ下山する予定なので、下山届はそちらで記入する様注意書きがあった。


最初はエゾマツと思われる森林帯の中を歩き始めた。


針葉樹林帯を抜けるとハイマツ帯となり登山道には沢山のイソツツジが咲いていた。


次第に見晴らしが良くなり山頂らしきピークが見え始める。


更に登ると斜面の向こうにオンネトー見えた。想像では青色かなと思ったが周囲の色が映っているのか緑色に見えた。


名前は分からないが遠くの山まで深い森林に覆いつくされている。人工物は全く見えず、北海道らしい景色だった。


更に登り、北東方向に見えてきたのはフレベツ岳だろうか。右側には見えないが阿寒湖や雄阿寒岳があるはずだ。


8合目を過ぎたあたり。既に下山途中の沢山の登山者が休んでいた。


この辺りにはチョウカイフスマに似た沢山のメアカンフスマが群生していた。


雌阿寒岳の稜線へ出ると眼下にぽっかりと開いた噴火口が見えた。

雌阿寒岳の山頂に到着、強風対策の為か何だか寂しい一本の細い標柱に雌阿寒岳頂上との記載があった。
向こうには阿寒湖と薄っすらと雄阿寒岳が聳えているのが見える。


反対側には先程から見えていた噴火口の全貌が見える。対岸の中腹から噴煙が上がり、轟々と音を立てていた。


双眼鏡で火口を見ていた若者に声をかけると最近こちらの地元に引っ越してきて初めて登ってきたそうである。
日頃住んでいる場所から雌阿寒岳が良く見えているのに、今日は山頂から麓の町が見えないのを残念がっていた。


雌阿寒岳の南側を見ると、堂々とした山容の阿寒富士が見えた。
山頂に居た若者に、出来ればあの阿寒富士へ登りたいがちょっとハードだねと言うと、山腹に付いた九十九折れの登山道を見ると登る気がしないと返事が返ってきた。確かにあの急坂を登るのは一苦労だと思われる。


こちら側の小さな噴火口からも頻りに噴煙を立てている。目の様な池は青緑色で綺麗だった。


山頂から暫く下った所から見た阿寒富士。地図によれば往復1時間らしいが本当だろうか?
私はどうするかちょっと躊躇していたが1時間なら時間的には間に合いそうだし、せっかく晴れているのに登らない手はないと思い直した。


登ってみるとやはり少しハードな登りだったが、急な分どんどん高度を稼げて30分程で登り切った。
途中、仙台から来たという二人ずれとすれ違ったが山頂には誰も居ない。


山頂からは大きな口を開けた荒々しい雌阿寒岳の全貌が目の前に見えた。素晴らしい景色だ、やはり登ってきて正解だった。


阿寒富士からの下山途中、数人の男女が登って来た。その中の若い女性が道を譲ってくれた時、女性の後ろを見るとコマクサが咲いていた。
コマクサが咲いていると伝えると、女性はこの貴重な花が見られてラッキーだと嬉しそうに笑顔を返してくれた。
些細な出来事だが、こんな一瞬の出会いが旅を楽しくさせてくれるものである。


下山途中特にスピードを上げてはいなかったが、幾つかのゆっくりした集団を追い抜いてオンネトー側へと下った。


オンネトー野営場。
実はここから長い林道を歩いて雌阿寒温泉まで約1時間ほど歩く予定だったのだが、途中追い抜いた集団の人と暫く話しながら下ってきたところ、車で来ているので雌阿寒温泉まで乗せてくれると言う。
林道歩きは別に楽しくないので、有難くご厚意に甘える事にした。


こんな経緯で1時間ほど余裕も出来たので、野中温泉の立ち寄り湯に入っていく事にした。
ここは20数年前、家族旅行で宿泊した思い出の宿、遠い記憶では確か温泉が素晴らしかったと思ったからだ。
入浴料350円を払って入ってみると、昔の記憶通り白濁の素晴らしい温泉だった。

外の露天風呂へ行ってみると何と山頂で出会った若者が入っていた。実はあれから阿寒富士へ登ってみたら大変だったけど素晴らしい景色だったと話すと、今度来たら登って見ると言う。
この温泉はとても体が温まる湯で、その日は何時までも体がポカポカしていた。
この日は阿寒湖畔にある温泉民宿山口にお世話になった。

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<2日目:雄阿寒岳登山>

当初の計画では2日目に雌阿寒岳登山の予定が昨日登ってしまったので、今日はフリーの移動日である。
天気が良ければ雄阿寒岳へでも登ろうかと朝早く起きてみると予報通り小雨で阿寒湖も真っ白で何も見えない。
折角早起きしたのでお風呂に入ってのんびりして7時過ぎ頃宿の女主人に清算を申し出ると、朝の天気予報では回復傾向だと教えてくれた。
ここの宿はホスピタリティがあって何かしたいと言えば色々教えてくれるのである。しかし一旦諦めてのんびりしてしまったので、車で観光しながら次の宿へ行くと伝えて宿を後にした。


宿を出て阿寒湖の湖畔に出てみると、雨は止んでキリがかかっていた。
次の宿、川湯温泉へと向かおうと車を走らせたが、色々回っても時間が余ってしまう。

摩周湖方面へ向うためR241を進んで丁度雄阿寒岳の登山口へと差し掛かった時、何と山の上に晴れ間が差しているではないか。
折角来たんだから寄ってらっしゃいよと山が言っている気がして、気が付くと登山口の駐車場に止まっていた。


登山口から見えた阿寒湖。湖畔には遊歩道が設置されている様だ。
大急ぎで支度をすると登山届を記入して鬱蒼と茂った林の中を歩き始めた。


昨夜の雨の為か川には豊富な水が流れている。


阿寒湖と繋がっている太郎湖。登山道はこの太郎湖と次郎湖の間を縫うように付いていた。


更に進むと針葉樹の中の急登が始まる。


4合目まで来たがこれからが長かった。


途中、左側に阿寒湖畔温泉街が見えた。


やがて白樺の道へ出ると明るくなってきた。


次第に阿寒湖の全容が見渡せるようになった。


最後はハイマツ帯の尾根道となった。前方にある丸いピークが山頂の様だ。


ようやく雄阿寒岳の山頂に到着。一人の若者が休んでいたので挨拶を交わす。
コースタイムでは雌阿寒岳とそう変わらない気がしたが、実際登って見ると雄阿寒岳の方が大変だった。


若者が眼下にパンケトーが見えると教えてくれた。この湖は陸路で接近するのは難しく、途中熊が出没し危険だとの事。
ここで見られてラッキーだった。


こちらはペンケトーだと思ったが地図で見ると阿寒湖のキネタンベツ湾だった様だ。
暫く歓談していたが雲行きが怪しくなってきたので一緒に下山する事になった。


山頂直下には大きな窪みがあった。古い噴火の跡かもしてない。


こちらはひょうたん池。


8合目付近に設置されていた看板には雄阿寒岳気象観測所跡の表記があった。
昭和19年から21年まで人が常駐して観測が行われていたらしい。


遠くで雷鳴がなり始めていた。阿寒湖へ向って急いで下り始める。
お互いの登山歴や今までに登った山のなどについて話すと話題は尽きず、下山の煩わしさも忘れることが出来た。
ところが4合目辺りまで下ったところで雷鳴と共に雨が落ち始めた。最初は森林帯だし小雨なのでそのままスピードを上げて下る。

2合目辺りに差し掛かった頃にはすっかり豪雨になった。
その内雷鳴は稲光と同時に凄まじい音と共に鳴り響き始めた。もう濡れついでなので二人ともそのまま猛烈な勢いで下った。


遂に1合目を過ぎた頃、だんだん雷も遠のいて雨も小雨になってきた。やれやれ、ようやく次郎湖が見えるとホットした。


何と太郎湖にはボートで遊ぶ人たちが見える。さっきの雷雨は何だったんだろうという感じだ。

何はともあれ二人共無事下山出来て良かった。そして図らずも忘れ難い思い出の登山となった。
という事で、最後にお互いの連絡のためにFaceBookの友達申請を取り交わして別れたのだった。

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<雌阿寒岳のルートと所要時間> 行動時間:4時間23分(休憩時間含む)

雌阿寒温泉登山口(11:12)→雌阿寒岳山頂(13:10-20)→上分岐(13:40)→阿寒富士山頂(14:10-20)→下分岐(14:40)→オンネトー野営場(15:35)

<雄阿寒岳のルートと所要時間> 行動時間:6時間10分(休憩時間含む)

雄阿寒岳登山口(7:20)→4合目(9:00)→6合目(9:45)→雄阿寒岳山頂(10:20-55)→登山口(13:30)

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