伊豆 雲見温泉と下加茂の青野川桜
2012年3月10日-11日 伊豆 雲見温泉と下加茂の青野川桜
S脇君から、昨年に続き今年も天城登山&下賀茂の早咲き桜見物へのお誘いがあり、N橋さんと3人で出かけてきた
昨年の2月、予想外の雪の中を天城峠から八丁池までの周回コースを歩いた時
大きなブナやヒメシャラの木々の茂る森が特に印象的だった
今回は是非とも天城縦走を果たしたいという思いがあり
又、縦走後には定番の雲見温泉でメジナ(グレとも言う)の刺身を食し
翌日は下賀茂の早咲き桜を見物して帰るという
ちょっぴり欲張りな、しかしとても楽しそうな計画だった
しかし数日前の天気予報により、雨と強風で最悪の天候だとわかり
直前までやきもきしていたのだが、結局天城登山は中止となった
ゆっくり午後から出発して、雲見温泉と下加茂の桜見物をしよう
残念だが雨と強風の天城は楽しくないだろう
おりしも11日は昨年の大地震発生の1年後にあたる
桜は昔から魂を鎮める木と言われてきた
私は早咲きの桜の花の元で悲惨な災害に遭われた人々への思いを新たにする事となった
何時までも忘れまい
10日はゆっくり午後に出発、予報通りの雨の中を沼津湾に出ると
何時も通りの穏やかな海の景色が待っていた
美しい海岸線を南下して土肥温泉を過ぎる頃には雨も小雨となった
美しい西伊豆の海岸線を更に南下すると、やがて松崎港が見えてくる
せっかくだからちょっと寄り道をしようと言う事になった
松崎には古い歴史を物語る建物が残されている
なまこ壁の蔵を持つ商店
橋のそばにあった工芸品店でお茶をする
懐かしいウインナーコーヒー
まるで明治のころに戻った様な街並みを散策した
どこか外国を思わせるデザイン
こちらは現役のなまこ壁の家
保存されている呉服屋の建物
沢山のお雛様が展示されていた
広い呉服屋の室内に入ると、まるでタイムマシンに乗って遠い過去に戻った様な感じだ
暫らく松崎町の町を散策したあと、目的の雲見温泉はすぐ近くだ
雲見温泉に到着すると、こんな雨の日ながら数組の泊り客が泊まっていて結構な盛況ぶりだった
小さな露天風呂に浸かった後は、お楽しみの夕食である
S脇君が予約時に頼んでおいてくれたお蔭で
今年もご主人が釣ったメジナのお刺身を頂く事が出来た
伊豆名物の本わさびを鮫皮で摺って食す
美味しい食事と尽きない話
夜遅くまで楽しむ事が出来た
翌朝、S脇君と一緒に雲見から海に突き出した半島に聳える
烏帽子山(163m)に登った
ここ雲見温泉宿は
西伊豆の松崎町の南に位置していて
近くには2010年9月に登った高通山(たかとおりやま)がある
頂上から眼下に見えた千貫門の直ぐ脇に見えていたとんがり山が烏帽子山である
あの時、海の際に立つ尖がった姿を見て、気になる存在だった事を思い出した
烏帽子山は雲見浅間神社が祭られている信仰の山であった
全国に約2,000社もあると言われる浅間神社の中でも珍しい
磐長姫尊(いわながひめのみこと)を祀る神社であり
いわゆる不老長生の神として信仰されているらしい
雲見湾と烏帽子山
登り口
かなり急な階段が続く
頂上に登ると眼下に千貫門が見えた
奥社と雲見温泉の集落
透きとおっていて海底が見える
結構険しい階段に息をきらせて登ったが
登山と言うより「参拝」と言った方が相応しいかもしれない
宿に帰ってみると ちょうどN橋さんが朝ご飯を食べようとしていた
ゆっくり朝ごはんを食べた後、おっとりがたなで海岸線を南伊豆へと向かった
目指すは下賀茂温泉郷から弓ヶ浜に流れ出る青野川だ
伊豆で有名な早咲きの桜と言えば「河津桜」
河津は東伊豆にあるのに対して、下賀茂は南端に位置する町である
当地のパンフレットによると
ここの桜の事を「みなみの桜」と呼ぶそうだが
何となくピンと来ないなぁ・・・・
私はこの美しい早咲き桜の事を「青野川桜」と命名した(仲間内しか通じないが)
「下賀茂の青野川桜」・・・・
京都の里に咲く桜の名前の様でもあり
何となく優雅な響きではないだろうか
小雨の中、桜の下を歩くS脇君とN橋さん
花はとても綺麗なピンク色
特に一緒に咲いた菜の花の黄色とのコントラストが美しい
こちらは菜の花畑
満開の桜と菜の花が咲き乱れるさまは
正に天城峠で隔絶された桃源郷の様な感じがした
あとひと月もすれば、東北に春が訪れて
きっとあの大河原の一目千本桜も満開になることだろう
あの愛しい地にも桜の花が咲いて
亡き魂を鎮め、復興に励む人々の心を癒してくれるように
ひらひらと舞う桜のひとひらに思いを込めた
下賀茂を後にすると、すぐそこにはもう海が見えてくる
ここは河口にある弓ヶ浜海水浴場
海岸はひっそりとした風情
穏やかな伊豆の海にはシーカヤックが良く似合う
童心に帰って暫らく遊んだ
天気はいまいちだったが
満開の青野川桜と南伊豆の海
満ち足りた気持ちで伊豆を後にした
登ることなく心豊かになれた良い旅だった