南八ヶ岳縦走 その1 (西岳~権現岳~キレット小屋編)

2017年7月15日-16日 南八ヶ岳縦走 その1 (西岳~権現岳~キレット小屋編)

権現岳を過ぎるといよいよ赤岳に繋がる壮大なキレットへと突入する。

以前からS脇君が提案してくれていた船山十字路を起点としてキレット小屋で1泊して南八ヶ岳を周回するダイナミックな周回縦走を遂に実現した。
計画ではテント泊だったが3連休だったこともあり、キレット小屋へ到着した時点で既にテント場は満杯の為、残念ながら小屋泊まりになった。

実はS脇君がテントを購入してから随分経つが未だにテントデビュー出来ずにいたので、この機会が絶好のチャンスだったのだが実現出来ず次回以降に持ち越しとなってしまったのである。
これは残念な事だったが、心配していた天候もほぼ晴れてくれたし、富士山を始めとして南アルプスや中央アルプスなどが見通せる素晴らしい展望があり、険しい岩の連続する登山道には沢山の花が咲いていてとても楽しい縦走が出来た。

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前日までは雨が予測されていて岩場が多いこのコースだけに難しいと思っていたが、直前になって回復し始めたので急遽決行する事になった。
船山十字路は前回美濃戸口から登った南沢のすぐ南側に伸びる御小屋尾根の麓に位置していて、虎尾神社への林道のゲート脇にある小さいながら駐車場も備わった十字路である。

但し、正式な登山口ではなく小屋やトイレ等はないので食料調達やトイレ等は予め済ませておく必要がある。

中央高速で向かう途中、編笠山から権現岳、赤岳などの南八ヶ岳の山々が良く見えた。
こんな姿を見てしまうと、早くあの頂に登って素晴らしい景色を見てみたくなるものだ。


メインの駐車場は一杯だったので脇にある空き地へ車を止めた。

隣で準備を始めたのは静岡方面から来られた人で我々と全く同じルートを歩くそうだ。この人とはその後要所、要所でお会いする事になった。


暫く林道を歩いたところから薄暗い登山道が始まった。長いトラバースと深い林の中の道が延々と続く。おまけに沢山のブヨが纏わりついてきて時々刺すので些かうんざりする。


凡そ3時間もかけて漸く西岳の山頂に着いた。山頂は広く展望が素晴らしく、ここまで我慢の登りだったからこの開放感が嬉しかった。


すぐ目の前の編笠山に連なるように聳えている先鋒はギボシだろうか。対照的で美しい山並みである。


西岳を後にして1時間ほど東へ進むと編笠山とギボシの間のコルに位置する青年小屋に着いた。

まだお昼過ぎだと言うのに既にテントが何張も張られているのを見てテント場が狭いキレット小屋は大丈夫なのかと少し不安になった。
まあ、このテント場は八ヶ岳の端に位置しているので3連休の前日遅い時間に入山した人たちがここに張って赤岳方面へ出かけているのかも知れないと思った。


大分年季の入った風情の小屋だが、多くの人が出入りしていた。


小屋を後にするとギボシと思われる山の向こうに阿弥陀岳が顔を出した。


振り返ると編笠山の下に青年小屋が小さく見えた。


いよいよギボシに近づく、先行しているS脇君が大きな岩の手前で手を上げている。


山合いから諏訪の街並みと諏訪湖が光って見えた。


ギボシのトラバース道へ進むS脇君。


ギボシを過ぎると前方に尖った権現岳と直下に建つ権現小屋が見えた。

この辺りでは色とりどりの高山植物が数多く見られた。岩場ばかりが目立ってしまう八ヶ岳だがこの時期は素晴らしい高山植物の宝庫なのだ。


左側には細い尾根が連なるキレットとその向こうに阿弥陀岳、中岳、そして半分雲に覆われた赤岳が見渡せた。


キレットと赤岳。細いキレットの道を歩く人が小さく見える、これからあそこを歩くのだ。


権現小屋の前には沢山のミヤマキンバイが咲いていて極楽の雰囲気、時間が止まっている様で思わずここに泊まりたくもなる。


小屋の上部にある分岐にザックをデポして権現岳山頂へ向かう。


権現小屋とギボシ。


山頂で記念写真を撮ってもらう。


さていよいよキレットへ突入する。

ここでも急な斜面に沢山の花が出迎えてくれて心強い。


名物らしい長い梯子が出現した。


確かに長い梯子だ、61段あるそうだ。3点支持を守って安全に下れば問題ないが、腕が疲れた。


途中、コマクサの群落があった。貴重な花だが、柵もない所に沢山咲いている。

愛らしいコマクサをまた見る事が出来て嬉しくなった。


それ程遅く歩いたつもりもないが、小屋に到着したのは何と5時だった。
遅くとも4時ごろまでには到着して欲しいと言われる事が多いので、ちょっと緊張して受付を申し入れると小屋番の若いお兄さんが優しく対応してくれた。


テント泊を申し入れたが、テント場は一杯なので張れる場所を探してみてあれば張ってくれとの事。
そこでかなり下まで探したがもはや場所は無く、仕方なく小屋の素泊まりとなった。

お兄さんの話では、本日は朝方9時頃からテントを張りだす人たちが居て異様な感じだったと言っていた。こんな山奥に9時に来てテントを張ってどういう行動をとっているのか不思議だった。
ここに9時に来れたのなら八ヶ岳のあらゆる場所まで縦走出来そうだし、下山も出来るはずなのだが、理解に苦しむ行動である。

その夜は関西方面から来た数人のグループ内の一人の女性が小屋泊まりしていて、同じテーブルで炊事をしていたので食事をしながら色々な話をして過ごした。
その人は山岳愛好会のメンバーの様で昨夜大阪から麓に着いて仮眠した後、観音平方面から編笠山経由で登ってきたそうだ。途中出会った花々の事や今までに登った山の話などを聞く事が出来た。こんな出会いが出来るのは小屋泊まりのメリットだろう。

キレット小屋は再建されたのか、まだ真新しくて綺麗だった。夜も鼾をかく人が少なくとても静かに過ごせたのだが、最後に飲んだコーヒーの為か私は何故か中々眠りにつけずウトウトしたまま何時の間にか朝を迎えたのだった。

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<今回歩いたルートと所要時間>

1日目 :船山十字路(8:40)→西岳(11:40-12:00)→青年小屋(13:45)→権現岳(15:30)→キレット小屋(17:00)

2日目 :キレット小屋(6:05)→赤岳(7:55-8:05)→中岳(8:54)→阿弥陀岳(9:40-10:30)→御小屋山(12:15)→船山十字路(13:22)

<標高データ>

(キレット小屋周辺の距離表示が長いのは小屋周りでテントを張れる場所を探したため)

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