白山 千紫万紅の道を登る(前編)

2018年7月13-14日 白山 千紫万紅の道を登る(前編)

花の百名山に相応しい千紫万紅の道をひたすら登るとやがて雲が切れて霊峰白山の頂が見えた。

アルプスなど高い山に登るたびに遥か遠くの雲海に浮かんで見える白山を見るにつれ、早く登りたいと思っていた。

何時もの事だがアプローチの方法やルート、宿泊の方法、登る季節など色々考えて計画するのは登山の楽しみの一つだ。何度も計画してはボツにしつつも漸くこれと思う案を決めていざ実行しようとしていた。

花で有名な白山だけに季節はやはり7月、しかもゆっくり楽しむには日帰りでは物足りないだろう、だがこの時期は室堂ビジターセンターは混んでいて予約を取れるとは限らない。そこで南竜山荘のテント場に2泊して七倉山方面まで足を延ばす計画を考えていた。

そんな楽しい計画を一人で抱えている事が出来ずつい細君に話したところ、何と一緒に登りたいと言う。驚いたが無下に断るわけにもいかず、当初の計画を大幅に変更する事になった。

という事で平凡だが別当出合まで車で行き、砂防新道を登って室堂泊、翌日に御前峰に登頂して観光新道を下る案へと変更。比較的好天が望める7月の半ばを選んで実行しようと室堂のビジターセンターに予約を入れると意外にも簡単に予約が取れた。

実際に歩いてみて、登山道の周辺ではありとあらゆる種類の花々が咲き乱れていて正に千紫万紅の趣で良い意味で期待を大きく裏切られた。又、翌朝暗いうちに御前峰に登ると北アルプスの峰々の方角から登る日出を見る事が出来、細君を連れて来た甲斐があった。しかも細君にとって本格的な山小屋泊が初めてだった事もあってとても喜んでくれたのも、単独行が多い自分にとっては嬉しい事だった。

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神奈川から石川県の白山までは概ね500Kmもあり車で7時間ほどかかる。しかし5月に荒島岳まで来ていた事もあるし、今回は2人で運転も出来る。

当日早朝出発して別当出合には9時半頃到着した。ゆっくり歩いても3時頃までには室堂に着けるので安心して歩きだした。

別当出合から砂防新道を歩き始めると直ぐに別当谷に掛かる大きな吊り橋が現れた。

生憎雲が多く蒸し暑い登山道が続いたが、両脇には沢山の高山植物が迎えてくれた。

展望は無く蒸し暑い登山道をひたすら登る。ようやく着いた中飯場というベンチで休憩した。

周辺には更に多くの花が咲いていて名前を思い出すのも大変だ。

別当覗に到着したが別当側は見えなかった、しかしここまで来れば砂防新道も半分以上過ぎた事になる。

更に1時間半ほども登ると甚之助避難小屋に着いた。収容人数20人ほどの広さでトイレもある。

標高2000m付近まで登ってくると高山植物の種類が半端なく咲いていて中々先に進めず嬉しい悲鳴をあげた程だった。

霧で周辺の景色が見えない事もあって細君も花の撮影に夢中。

ここに咲いていたハクサンカメバヒキオコシは初めて見る花だ。

傾斜は急で登り甲斐のある道だが次第に晴れて来て空が見えると快調に歩が進んだ。

 

そして遂に黒ポコ岩に着いた。

ここは帰りに予定している観光新道との分岐点だ。これ以上詳しく書けないと言うほど親切な道標が立っていた。

黒ポコ岩を過ぎると直ぐに弥陀ヶ原と言う平らな草原に出た。向こうに聳えている山の上に室堂がある。

南竜ヶ馬場から道との合流点には大きな雪渓が残っている。

最後の坂道を登る。

遂に室堂ビジターセンターに到着。思った以上に大きく山小屋と言うよりホテルと言った方が相応しい。

センターの前には池と花が沢山咲いていて庭園の様な美しさだ。

センター内にはルート上に咲く驚くほど沢山の花の名前や写真が貼られていて流石花の名山だと感心させられた。

受付で宿泊の手続きを済ませると今夜の宿泊数は100数十名との事だが明日の休日には何倍かになるだろうと言っていた。

別棟の宿泊棟に案内されると、廊下の両側に何部屋にも分かれて小部屋が並んでいて我々は入り口付近の部屋を割り当てられた。

小部屋と言っても廊下から窓に向かう両壁に沿って広い2段ベットがあって1段当りに5,6人が寝られる広さがあった。

ラッキーな事に今夜は混んでいないとの事で一枚の布団に一人で寝られる。

ビジターセンターの北側に出ると白山奥宮があり、更にその向こうに御前峰が聳えていた。

この頃にはすっかり晴れて真っ青な空に映える御前峰の姿が美しい。奥宮に参拝して無事に登れた感謝の気持ちと明日の早朝に朝日が拝める様お願いした。

ビジターセンターの前の展望台に上がるとすぐ下には雲海が広がっていた。

室堂は広くあちこちに展望場所があって遠くの景色を見る人たちでにぎわっている。

周辺には群生するクロユリを沢山見る事ができた。こんなに多くのクロユリを見た事がない。

そして何と言っても可愛いハクサンコザクラが沢山見られたのも嬉しい事だった。

見ている内に目の前に美しい峰が見え始めた。恐らく別山だと思われる。

センター周辺を散策している内にやがて日が傾き始めた。

広い室堂周辺の景色。

東側に薄っすら見え始めたのは御嶽山だろう。

白山の西斜面へと沈む夕日。

御前峰が赤く染まった。

すっかり姿を現した別山と南側の空も赤く染まって美しかった。

そしてすっかり日が沈むと西の空は夕焼けに染まった。

私も細君も沢山の花を見ながら登り、素晴らしい夕景を見られて満足だった。

久しぶりの小屋の夕ご飯も美味しくて完食。明日も天気が良さそうだし早朝暗いうちに起きて御前峰に登り朝日を見る事に決め早めに就寝となった。

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<今回のルートと標高データ>

1日目:別当出合(10:00)→中飯場(11:05)→甚之助避難小屋(13:10)→黒ポコ岩(14:46)→室堂ビジターセンター(15:22)・・泊

2日目:室堂ビジターセンター(3:35)→御前峰(4:10-4:45)→大汝峰(5:40-5:50)→千蛇ヶ池(6:07)→室堂ビジターセンター(6:40-7:55)→黒ポコ岩(8:27)→殿ヶ池避難小屋(9:56)→別当坂分岐(11:44)→別当出合(13:40)

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