道東の山旅 その2(斜里岳編)

017年7月3日 道東の山旅 その2(斜里岳編)

下山途中でようやく姿を現し始めた斜里岳。

道東の山旅 その2は、斜里岳の登山記である。

雄阿寒岳への登頂後は屈斜路湖と摩周湖の真ん中にある川湯温泉に宿泊した。
当初、斜里岳への登山口である清岳荘への宿泊も考えたが、折角なので有名な川湯温泉を選んだ。
これは正解で、阿寒温泉とも異なった泉質で柔らかくとても気持ちのいい温泉で登山の疲れを癒してくれた。

残念な事に翌日の登山は視界が利かず、さぞ雄大であろう景色は見られなかったのだが変化に富んだ登山道と沢山の高山植物が見られてそこそこ楽しむ事が出来た。
比較的早めに下山できたので、少し戻って「神の子池」や「摩周湖」などを観光してから次の宿泊場所であるウトロへと向かった。

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7月2日の夜の予報によれば、翌日の斜里岳の天候は終日曇りとあまり芳しくなかった。
早朝に起きてみると外は霧で一面真っ白だったが、雨は降っておらず風もないのだからと一応準備を整えて川湯温泉を出発した。

斜里岳の登山口である清岳荘までは約1時間ほどの道のりだった。斜里町に入る頃には雨が降り始めて斜里岳方面を見ても全く山は見えない。
山道へ入ると道は狭く、路面はダートになり更に心細くなった。この時点で登山は難しいかも知れないと思ったが、一応清岳荘まで行ってみようと思い車を走らせた。
ところが長い林道を抜けて高度を上げていくと不思議と雨がやんできた。突然細い林道が終わって開けた場所へ出ると、そこが清岳荘の駐車場だった。

まだ4時半頃だったが、既に数台の車が止まっていて夫々登山の準備をしている様子だ。視界はないが、雨は止んでいるので登山は出来るだろうと判断し、私も急いで準備を始めた。

清岳荘の駐車場で準備を始めた。途中、天候が更に悪化する様なら下山すればいい。
清岳荘でトイレ、駐車料金各100円を払ってから登山届を出して出発した。


清岳荘の駐車場から少し下って林道に降りた。暫く林道を進む。


林道の終点から登山道が始まった。


早速最初の渡渉ポイントが出現する。水量は少ないので良かった。

周囲にはこんな花が咲いていて目を楽しませてくれる。

やがて二股に着くと沢道の旧道と巻き道の新道に分かれる。迷わず旧道へと進んだ。

事前情報によると通常は登り旧道、下り新道が適しており、下りに旧道を使う場合は何か所が危険個所があるがそこさえ注意すれば新道よりかなり早いとの事。

登りに旧道を歩いてみて危険度を判断しようと思った。

沢道の旧道を行くと滝が現れた。水蓮の滝。

こちらは羽衣の滝。ここでも花が沢山見られた。

上部にはまだ雲が纏わりついていて山頂は見えない。


万丈の滝。次々と綺麗な滝が出現して飽きない。


この滝の左岸を登る。確かにここを下るのはちょっと要注意だろう。


登り終えて上から見ると、如何にも滑りそうだ。


先行する登山者が見えた。滝の様な流れをヘツリながら慎重に登っている。


かなり急斜面を登っていく。落ちない様に慎重に登れば危険はなく、変化に富んでいて楽しい。


上の二股に着いた。ここから山頂へは一本道となる。


やがて小さな雪渓が現れた。


胸突き八丁、もう一息というところか。視界が無い普通の登山道は楽しくはない。
この後、直ぐに馬の背というコルに到着、小休止して先行者の人と話をしていると後からもう一人登ってきた。

一人は九州から、後から来た人は名古屋方面から登山に来ておられるとの事で、皆さん遠くから来られているので驚いた。
しかも車で車中泊しながら1か月近くも登山三昧というから更に驚きである。


一足先に山頂を目指して登ると山頂直下に祠が現れた。ここも信仰の山なのだ。
安全に登ってこられた事を感謝してお参り後山頂へと向かった。

山頂付近に咲いていた花。


斜里岳の山頂で記念撮影。残念ながら周囲は真っ白で何も見えない。

先程の二人も到着して登頂出来た事を喜んでいると、更に次の人が到着した。
この人が言うには、天候は回復しつつあるのでもう少しすれば視界が開ける気がするそうだが、見た限り私には簡単に晴れて視界が開けるとは思えなかった。
暫く歓談していたが、一向に晴れて来そうもなかったので下山する事にした。


ところが暫く下って山頂を振り返ると、何と上部には青空が見え始めていた。

先程の人が言った事が当たっていたのかも知れない。
せっかく登ったのだから戻って晴れるのを待つべきか迷ったが、登り返しても何時まで待てばよいか分からないのだからと思い下山を再開した。


登りの時にも気が付いていたのだが、登山道には山桜が咲いていてびっくり!青空に映えてピンク色が綺麗だった。
しかも沢山の桜の木が群生していた。7月だと言うのにまだ蕾が沢山ついていて、色のない登山道が急に明るくなった様だった。


上二股を新道へと進んだころ山頂付近を見ると更に晴れ間が出ている。
やはり山頂で待つべきだった様な気がして少し後悔した。


熊見峠付近は緩やかな上り下りが連続している。周囲は低いハイマツ林で晴れていれば見晴らしの良い尾根道だった。


谷間には雲がべっとりと纏わりついている。下界は曇っているのかも知れない。


振り返るとまたしても山頂付近は雲に覆われていた。

今日の自分は迷いが多い。行動としては単純に登って下っているだけで何もロスしているわけではないが、思考としては最初は登山を中止すべきかどうか迷い、登っている内に晴れてくると今度は視界を求めて山頂に留まるべきか迷い、下山中に更に晴れてくれば下山の判断を後悔していた。

登山は現状の分析と判断、行動の繰り返しでありこの様な事は毎回起きるのだが、今日の自分は何時もより迷いが多い気がした。
思い返してみれば今朝は雨で登山出来ないかも知れないと思ったのに、楽しい沢登りや途中で咲いていた山桜の美しさに感動しながら何の苦労もなく登頂できた事も忘れ、最高の眺望を掴めたかもしれないと早く下山したことを後悔しているのである。

この時、何て欲深い考えだったのだろうと気が付いた。雨で登れないかも知れないと思ったのに、楽しく山頂まで登れた事に対して感謝する気持ちを忘れてはならない。
そんな事を考えながら一人歩いていると、後から先程まで山頂で一緒だった名古屋の人が追い付いてきた。
一緒に歩きながら展望がなかった事や沢登りが楽しかった事などを話し合ってみると、この人も同じ様に感じていたらしかった。


そうこうしている内にあっという間に登山口へと到着してしまった。
この人は明日から羅臼岳へ行くと言うので、明日再会できるかも知れないので宜しくと挨拶して別れた。

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下山後に立ち寄った観光地。

1)神の子池:

摩周湖(神の湖)の伏流水から出来ているという言い伝えがあり神の子池と呼ばれている。周囲220m、水深5mだが1日12000tの水が湧き出していると言うだけあってとても澄んでいる。

ブルーの水に沈む倒木の下でオショロコマが泳いでいるのが見えた。

神の子池の周囲に巡らされた木道とフキの葉っぱの大きさが印象的だった。

2)摩周湖

裏摩周展望台から見た摩周湖

摩周湖の上部影の部分に小さな島が見えた。

3)ウトロ周辺

ウトロへ向かうR334を走行中。左側の海はオホーツク海。

日本の滝100選に選ばれている「オシンコシンの滝」

ウトロ港の東側にある岩礁地。

今回宿泊した国民宿舎「桂田」。

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<今回のルートと所要時間> 行動時間:6時間45分 (休息時間含む)

清岳荘(4:45)→下二股(5:34)→上二股(7:15)→馬の背(7:46)→山頂(8:15-27)→上二股(9:20)→下二股(10:45)→清岳荘(11:30)

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