安達太良山(バックカントリー)
2011年2月5-6 安達太良山(バックカントリー) 同行者3人
久しぶりにI君から安達太良山のバックカントリースキーのお誘いがあった、彼の山仲間と一緒に行くツアーに誘ってくれたのだ
I君とは2009年4月の月山BCスキー以来だ
関東に帰ってからはスキー仲間が居ない事もあって、この誘いはとても嬉しかった
しかも泊まる宿は私のお気に入りである岳温泉の松渓苑を予約したとのことで即日参加を表明した事は言うまでもない
懐かしい友と素晴らしい温泉に泊まり、大好きな安達太良山に登る、考えただけで嬉しくなってしまった
6日の福島県仲通り地方の天気予報は「晴れ」、風の予報も「穏やか」だそうで、I君は5日はゆっくり温泉に入って翌日朝から登頂しようと言う
5日の朝、I君は仲間のOさん、Kさんを拾い、私は単独で、それぞれ東北道を二本松ICに向かっていた
午前中に高速を降りて20分も走ると懐かしい岳温泉の町に入ったが、私は宿の前を通り過ぎて気になる安達太良山登山口まで直行した
逸る気持ちで奥岳温泉に到着すると天気は晴れていたが風が強い為にロープウエイは運行を中止しており、明日も風が強ければ下から歩いて登る事になりそうだ
せっかくだからスキー場のレストランで昼食を食べようと窓際の席を陣取ってスキー場を見ていると、沢山のスキースクール生がリフトに並んでいるのが見えた
ここでもスキーよりボーダーの人数の方が多い気がする
雲がかかったり眩しい青空が出たりしている安達太良の稜線を見ながらゆっくり昼食を食べたあと松渓苑に戻ると、程なくI君たちと合流したのだった
この日は温泉に浸かったり宿の料理や酒を楽しみながら、昔話やら明日のツアーの計画を話したりしながら過ごした
こうして久しぶりの東北の夜はあっという間に更けていき
最後は布団の中で話をしている内に自然と眠ってしまった様だ
6日の朝、起きると空は薄曇りだった
我々は朝食を済ませると早々に準備をしてあだたら高原スキー場へと向かう
流石にスキー場の上部駐車場はまだ一杯になっておらず、スキーを持って気にかかるロープウエイに急ぐと今日は動いていた
安達太良奥岳登山口
早速ロープウエイに乗り込む
標高1350mの頂上駅に着くと、残念ながら雲の中で視界は数十mしかない
風は殆ど無く時々明るくなる、頭上の雲の上には太陽が出ているのだろう
Oさん、Kさんはスノーシュー、今回はI君もスキーをデポしてスノーシューで登るとのこと、
スキーで登るのは私一人だし、この山に何度か登っている私が先頭に立つ事になった
ちょっと緊張したが、地図を確認して慎重に歩き始める
木々に着いた霧氷
積雪の量はそれ程多くないらしく標識が顔を出している
数m離れると見えなくなりそうなので慎重に進む
相変わらずベッタリとした雲が低く纏わりついて動かなかった
I君が捜索用のプローブを雪に挿してみると積雪は約2m位あった
トレースはしっかりついていたが、横にそれる足跡もあったりする
森林限界を過ぎると徐々に雪が硬くなりトレースも分かり難くなってきた、
私は夏道に近い尾根上をトレースして、時折現れる道標の赤布を見つけながら進む、
特に右側の谷に迷い込まないように気を使った
暫くして頂上を鉄山方面にトラバースする道標から離れて傾斜を直登し始める、
方向は間違っていないが、高度計が1700mに達しても頂上には着かなかった
しかも、だんだんウインドクラストした雪面でシールのグリップが効かなくなり始めた
もう、頂上部の岩場が見えても良さそうなのだが
そう思ったとき、上から降りてきたスキーヤーは「頂上を踏まずに降りてきた」と言う
みんなと相談の結果、そこから我々も引き返すことにした。
振り返って下山に転じると、景色が違って見えた、
方角を見極めて歩き始めると、すぐに先程のトレースに戻ることが出来た
シールを着けたままクラストした雪面をゆっくり慎重に下る
暫く下山して緩い雪質に戻ったのでシールを剥がすと一気に気持ちも自由になる
時々止まってスノーシューの三人を待つが、スノーシュー組は以外に早かった
下山につれて視界が広くなってくると、時々大きくトレースを外れて
人が入っていない林間の斜面に入り込んだりしながら滑るのが楽しい
そんな時、誰かが叫ぶ声がした 「稜線が見えるよ!」
雲が下がって上に日差しが出始めた
皆で山頂方向を見る
凄いスピードで視界が広がる
見る見るまに頂上まで見通せる
頂上直下には人の姿まで見える
鉄山方向
こんな景色を見て、みんな笑顔になった
今まで真っ白な世界の中で黙々と歩いていたのに
あっという間に目の前に素晴らしい景色が開ける、、幸せな気持ちになる瞬間だ
しかし、暫くすると周囲はまた厚い雲に覆われた
一瞬の束の間、このタイミングでたまたま見通しの良い場所に居られたのはラッキーだった
再び白い世界を下った
ロープウエイ頂上に着くと、I君はデポしたスキーに履き替える
スノーシューの二人はゆっくり、そして私とI君は一気にゲレンデを滑った
私のテレマークの師匠であるI君の前で滑るのはちょっと緊張したが
久々のテレマークスキーはとても気持ちが良かった
鮮明に見えた瞬間の頂上直下の写真を後で調べたところ、
我々はあと20mの所まで登っていた事が分かったが、あの時引き返して正解だったと思う
良い仲間と良質な温泉、最高の雪山に酔いしれた二日間だった
二本松の日本酒を土産に買ったあと、今回の山行を思い出しながら家路に着いた