八幡平縦走&温泉三昧ツアー
2018年10月13日ー15日
I君が八幡平を縦走しようと誘ってくれた。最初は岩手から青森の山々を電車やバスを乗り継いで歩く構想があったらしいが何かの都合で実現出来ず八幡平の縦走に変更したのだ。その祭、私が仙台に居た頃に藤七温泉から網張温泉まで縦走しようとして悪天に阻まれた話を覚えていてくれてこの山行を計画してくれたのだ。
初日、盛岡から八幡平行バスでアスピーテラインの茶臼岳口まで行き茶臼岳から黒谷地湿原、源太森、八幡沼を通って八幡平まで歩いて後生掛温泉に泊まった。歩く人も少な目で秋の湿原や源太森の景色は何か物寂しく感じられたが遠くに大きな岩手山や八幡平の稜線が見えると久々に訪れたこの地に来れた喜びが沸々と湧いてきた。初めて宿泊した後生掛温泉は噂に違わぬ名湯といった風情で泉質も最高だった。
二日目は八幡平から畚岳、諸桧岳、険阻森、大深岳を縦走して源太ヶ岳のトラバース道から松川温泉へと下って宿泊した。途中寄った大深山荘は、学生時代その頃の山友と春スキーで宿泊した事がある思い出の山小屋だったが、現在は新築されて綺麗な小屋になっていたが、避難小屋とは思えないしっかりとした造りは昔のままであった。
全体的に紅葉の最盛期は過ぎていて華やかさは無いが長年思ってきた八幡平縦走の夢がこれで叶った。そして松川温泉には八幡平BCスキーの帰りに日帰り湯に入った事があったが今回もあの白濁の湯に浸かれて幸せな時間を過ごせた。
初日、盛岡発八幡平周回バスでアスピーテラインに入ると、丁度紅葉が見頃を迎えていて綺麗な景色が見られたが茶臼岳登山口で降りる事には紅葉も終盤の景色になった。
アスピーテラインの途中にある茶臼岳登山口から木道を歩き始めた。
八幡平市と遠くに見えた岩手山の上には厚い雲がかかっていた。
茶臼岳展望台に着くと眼下に熊沼が見えた。遠くには明日歩く予定の長い八幡平縦走ルートも見えた。
こちらは安比高原方面。
黒谷地湿原には古い木道が続く。
ぱっと開けた黒谷地湿原と草紅葉。
安比方面の景色を眺める単独行の少女がいた。
源太森に到着。
湿原の中に続く長い木道。
八幡平山頂付近の展望台から八幡沼と凌雲荘を眺める。これもお決まりの景色だ。
ガマ沼まで来るとすっかり雲が取れたデッカイ岩手山が見えた。
八幡平へ登ると流石に人は多くなった。駐車場から後生掛温泉方面行きのバスに乗り込んだ。
途中、停車した蒸の湯温泉。ここも一度は来てみたい温泉だ。
今日の目的地後生掛温泉。意外と大きく沢山の人で賑わっていた。
遠くから見えていた源泉の湯けむりは温泉宿の目の前から立ち上がっていた。ここの温泉は濃くて体の芯から温まる最高の湯だった。
翌日は前日に予約しておいた宿の前を通るローカルバスに乗り八幡平へと戻り、そこから縦走を開始する。通常のバスは朝一のバスが無く縦走する時間が無くなる為、予約があった時だけ走るローカルバスを利用する事にしたのだった。
八幡平駐車場から歩き始めると右遠方に綺麗な山容をした山が見えた。恐らく森吉山だと思われるが結構遠く感じられる。
暫く車道を歩くと前方に見え始めたのは畚岳(もっこだけ)。
畚岳山頂には目新しい標識が立っていた。ここの標高は1578m、八幡平山頂の標高が1613mだから僅か35m差しかない。
南西方向には雲に覆われた乳頭山から秋田駒ケ岳の峰々が見える。
暫く展望を楽しんだ後、畚岳から八幡平樹走路へと下った。
八幡平らしい笹の間の道を進む。
やがて諸桧岳を過ぎると険阻森から大深岳、源太ヶ岳へと続く長い尾根が見え始めた。まだ先は長い。
深くなった笹の道を険阻森へと向かうI君。
険阻森を過ぎて歩いてきた方向を振り返る。遠くに昨日登った茶臼岳が見えた。
八幡平市側には鏡沼があった。
そして遂に大深山荘に到着した。記憶では確か平屋だったはずだが今は綺麗な2階建て。冬季の為に2階への入口も設置されている。
中に入ると素晴らしく綺麗に整備されていて、思わず何時か泊まりに来たいと思った。
東北の避難小屋は何処も比較的綺麗で良く出来ているがここは別格だと思う。
大深山、源太ヶ岳のトラバース道を進むと湧き水が出ていた。予想通りとても美味しい水である。
トラバース道はやがて松川温泉方面へと下り始め、前方には岩手山が迫ってくる。
綺麗な木道が続いていて歩き易い。
標高が下がるにつれ紅葉が見えて綺麗だった。
松川温泉へ近づくと更に綺麗な紅葉の道が続く。
大きなブナ林に癒される。
上を見上げると赤、黄、緑が混じる。
最後に紅葉が見られて大満足の縦走路だった。
源太ヶ岳の登山口へ下山。
今日の宿泊宿、松川温泉。
温泉に浸かりながらI君と長かった縦走路での景色の話や次に行く山などの話は尽きない。待望の八幡平の縦走と温泉三昧の山旅が終わった。
翌朝、盛岡に出るとお決まりの盛岡冷麺を食べてから帰路に着いた。
格別に美味しかったのは言うまでもない。
***追記***
そうそう忘れていたがこの山行で心残りだった事が一つある。
行のバスが八幡平市の道の駅(確か”にしね”だったか?)に寄った時、地元産の農産物の中に「山ぶどう」が売られていた。大きな入れ物に沢山入っていて値段は忘れたがかなり安かった。思わず購入しようと思ったがこれから山を縦走するのにずっと持ち歩けるはずもない。郵送する事も出来たが輸送費の方が高くつくので諦めてしまったのだ。でもこれが心に引っかかっていて何時か機会があればリベンジしたいと思っている。
昔、 宮城県加美町という所にある薬莱山の麓のおみあげセンターで地元の山ぶどうを購入した事があった。しかしそのまま食べてみたら酸っぱくてとても生で全部食べ切れる気がしなかった。そこで購入した時に包装してくれた紙に書かれていた食べ方に従ってジャムにしてみたところ、これが最高に美味しくて暫くの間毎朝のパンにつけて食べるのが楽しみになったのである。
なーんだと思われる様な些細な事だが、私の住んでいる地元では決して手に入らない食材への憧れみたいな(単なる思い込み?)ことが訪れる山で出会う大きな楽しみの一つなのだ。
<今回のルートと標高データ>
<1日目>
茶臼岳登山口(11:00)→茶臼岳(12:13)→源太森(14:00)→八幡平(14:40)→八幡平駐車場(14:55)
<2日目>
八幡平駐車場(9:05)→畚岳(9:45)→諸桧岳(10:40)→険阻森(12:25)→大深山荘(13:31)→松川温泉(16:02)