アメリカ西海岸の旅 前編(grandcrcle)
2015年10月15日ー25日 アメリカ西海岸の旅 前編(grandcrcle)
細君と一緒にアメリカの西海岸を旅行してきた。
久しぶりの家族旅行なので少し長くなってしまうがここに書き残しておくことにした。
私にとっては仕事以外でアメリカ本土を訪れるのは初めてとなる。特にシェラネバダ山脈を縦断するジョンミューアトレイルは山友のI君とも何度か話題にする程の憧れのトレイルであり、山脈の中央に位置してトレイルの入り口の一つでもあるヨセミテを訪れるのを楽しみにしていた。
公園内に宿泊した時には満天の星空や朝夕の景色が素晴らしく、今更ながらアメリカという国の大きさに驚嘆させられたりと仕事で訪れた時とは違うアメリカを見ることができた。
各地への出発点となるラスベガスやサンフランシスコでの滞在も私にとっては新鮮で楽しい観光であると同時にアメリカの先住民の文化や美味しい食べ物、歴史の一端を垣間見た。アメリカに行ったら私に是非見せたいと言ってこの様な素晴らしい旅行を計画してくれた細君に感謝したい。
前編 : ラスベガス(泊)→ルート66→グランドキャニオン(泊)→モニュメントバレー(泊)アンテロープキャニオン、ホースシュベント→ラスベガス(2泊)
後編 : サンフランシスコ(泊)→ヨセミテ(泊)→サンフランシスコ(2泊)
「アメリカの旅 前編」はラスベガスからグランドキャニオン、モニュメントバレーなどいわゆるグランドサークルの一部を回る2泊3日の現地ツアーに参加した時の話とラスベガス観光記である。
参加したのは現地の「ネバダ観光」のツアーだが小型のバスで周遊するこのツアーの参加者は我々を含めて7名、ドライバー兼案内人の Davidさんは元ハワイに住んでいた日系1世のアメリカ人で日本語がペラペラだったし歴史に詳しく色々な事を教えていただいた。また同乗していたご夫婦2組と単独男性1名の方々も大変気さくな人たちだった事もあって大変楽しいツアーになった。
<ヒストリックロード ルート66>
ラスベガスからグランドキャニオンまでは砂漠の中の道を約5時間ほどもかけてのロングドライブ。
途中で寄ったのは有名な「ルート66」をヒストリックロードとして残す運動を始めたANGEL DELOGDILLOさんという人のお店。元々床屋さんだったお店が今ではお土産屋さんになっている。
子供の頃「ルート66」というアメリカのTV番組が放映されていたので知ってはいたが、今では国の史跡に指定されて「HISTORIC ROUTE 66」として残されていたとは知らなかった。
調べてみると、この国道はもともと東部のシカゴと西部のカルフォルニア州サンタモニカを結んでいた全長3,755Kmもある横断道路だったが、州間高速道路の発達により1985年に廃線となったそうである。
今でも床屋さんのマークが残るお土産屋さん
店内には昔の床屋の部屋が残されていた
店内の風景
GOOD YEARの看板とレトロな車が昔のアメリカを感じさせる
昔の面影を残す現在のルート66の風景
その昔、一攫千金を夢見て東部からこのカルフォルニアへと怒涛の如く人々が訪れた頃から現在に至るまで、アメリカの東西を結ぶ道路が大きな役割を果たしてきた。
現在は高速道路と飛行機が主な交通インフラとなっているが鉄道が敷設され始めた頃、ある大きな石油会社が鉄道会社を買収してからのちアメリカの鉄道は衰退したという。真意は分からないが良くも悪くも長大な道路建設がアメリカの車社会の形成と発展に大きな影響を及ぼしてきた事は間違いない。
アメリカの繁栄の歴史の象徴、国の史跡としてHISTORIC ROUTE66が存在するのも頷ける気がした。
隣にあったハンバーガー屋さん、ここのソフトクリームは安くてとても美味しかった。
アメリカ国内からの旅行者も多く見受けられ、ジョークが飛び交う明るい観光地という印象をうける。
ここは映画「Cars」のモデルにもなった街としても有名。そのアニメの元となった車が展示されていた。
車が主役のこの映画は正に子供たちだけでなく大人にも愛される車好きのアメリカらしい映画だ。
トイレの前でふざける細君
<グランドキャニオン>
今回訪れたサウスリムには6か所の宿泊施設があり、我々は園内のYAVAPI LODGEという宿泊施設に泊まった。
近隣にはスーパーやビジターセンター、鉄道駅などもあって巡回する無料のシャトルバスも走るなどサービス精神溢れる国立公園である。
サウスリムでは様々なハイキングコースやラバ・ツアーなどもあり渓谷の下まで往復するツアーもあって長期間滞在すれば様々なアクティビティが楽しめる。
テントを含む大きなザックを持って下る人たちを見かけたが、バックカントリーで泊りがけのキャンプをする場合にはバックカントリーインフォメーションセンターから許可証を所得する必要があるらしい。少数ならば当日駆け込み申請も受け付けるという。
渓谷内は熱いらしく熱中症にかかる危険性もあるので水分補給が必須、この為飲料水の無料補給場所も点在していた。
グランドキャニオンでは生憎の天気で細君が是非見せたいと言っていた夕日や朝日は残念ながら見ることは出来なかった。
それでも標高差1200m、幅が6~29Kmもある深い谷が延々400Km以上続く景色は、想像を遥かにしのぐ雄大さだった。
コロラド川は足元の遥か下に細々と流れていて、この川がこの雄大な渓谷を形成した張本人とはとても思えなかった。
しかしロッキー山脈を源流とするこの川は、グランドキャニオンを流れ出た後、ラスベガスを始めとする西海岸の各都市を潤し、最後はメキシコ領内まで達してカルフォルニア湾へと流れ出るとてつもなく壮大な役割を果たす川だとこの時初めて知ったのである。雄大なアメリカの自然の一端を垣間見る思いだった。
向こう側のリムの上に人が群がって見える
リムの淵まで行くと手摺りもなく、毎年何人かはこの数百メートルもある絶壁へ落下する事故があると言うので決して気を抜いてはいけない。
ロッジ近くにあったスーパーマーケット
ここでは日用品からお土産、登山用品まで何でもそろう
格式の高そうなEl Tovar Hotelのロビーには素晴らしい内装や調度品が並んでいた。
Davidさんのお勧めもあってツアーメンバーと一緒に公園内を散歩しながらこのホテルの朝食を食べてみた。
リーズナブルな価格でとても美味しい。朝なのでラフな格好でOKだが夕食はジャケットが必要とのこと。
グランドキャニオン駅
グランドキャニオン鉄道は近くのウィリアムズ駅から1日1往復のみ運航されている
昔の機関車が展示されていた
モニュメントバレーへ移動する途中、グランドキャニオン国立公園の東端にある展望ポイント、デザートビュー(2267m)に立ち寄った。
ワッチタワー内には螺旋状の階段があり上っていくことができるが、残念ながらこの日は雲が多くて展望は得られなかった。
道路にはアメリカライオンに注意の標識が!
アメリカライオンとは所謂ピューマのことらしく、アメリカ全土に生息するとのこと。
道端でオスのエルクを発見した、立派な角を持ったエルクを見かけるのは珍しいらしくラッキーだった。
<モニュメントバレー、アンテロープキャニオン、ホースシューベント>
グランドキャニオンから約260kmほど離れたモニュメントバレーへと向かう。途中昼食を取って約5時間強のドライブとなった。
こんな道路が延々と続く
途中見かけたDenny’s、我々の昼食はBurger Kingだったが中々美味しかった
モニュメントバレーはまさに西部劇に出てくる様な風景の場所で、目の前に幌馬車やインデアンが馬に乗って横切っていても不思議ではないという感じである。
現在は1800年ころから住むナバホ族の人たちの土地として認められていて米国から独立した言わば独立国家ともいえる場所だという。
Davidさんによればこの地に数十万人居た先住民であるインディアンは白人に迫害されて激減した歴史があるという。改めて現在の合衆国の発展と繁栄はインディアンの屍の上に築かれたものだという事を思うとまた感慨深いものがあった。ここは合衆国の国立公園ではなく、道路も公園もHOTELも全てナバホ人が運営している国なのである。
宿泊したTHE VIEW HOTEL
このホテルはモニュメントバレーを見るには特等席の位置に建っていて全部屋のバルコニーから居ながらにして景色が見られるというHOTELだった。
ナバホ人が運営しているだけあり、ナバホ民族の文化が感じられる内装や装飾品が多数展示されている。
暖炉の煙突に飾られていたインディアン人形
手作り感満載で趣のある木の椅子やテーブル
色が鮮やかなベットカバーの模様も特徴的である
部屋のベランダから早速写真を撮ってみた
この後、ナバホ人による現地ツアーに参加してバレーの奥深くまで行ってみる事になった
ミトン(親指だけ独立した手袋)と呼ばれるモニュメント
メサと呼ばれるテーブル状の台地が幾つも並ぶ
細君が馬に乗って記念撮影(5$と格安)させてもらう
一見平たんな場所に穏やかに馬にまたがっているように見えるが、実は馬は高さ数メートルもある突き出した突起の上にいてヒヒーンと前足を上げたら真っ逆さまに崖下まで落ちる恐怖と戦っているのである。
モニュメントバレーの観光化は1930年代、。現在公園内を通る道路は、ほとんどが映画撮影のために作られたものである。バレーの中には一般の車も侵入できるらしいが、あるところより奥にはナバホ人が運営するツアーしか入れないと説明があった。
この場所は、映画監督のジョン・フォードが映画撮影に使用するためにこの台地に道路をしいた頃から始まったそうで、ここで撮影された映画で有名なのはジョン・ウエイン主演の「駅馬車」、「黄色いリボン」、「荒野の決闘」、「アパッチ砦」、「2001年宇宙の旅」、「バックトゥザフューチャー3」、「フォレスト・ガンプ」、「ウインド・トーカーズ」等があるとのこと。
こちらは右側に横たわるドラゴンの岩(真ん中に顔がある)と手前にある小さな突起はキャロットと呼ばれている。
キャロットの上に立ってみた、後ろにドラゴンの顔が見える
こちらは酋長の顔
3人の修道女が祈る姿と言われるモニュメント
一周してHOTELまで帰ってくるころ、丁度夕日が斜めに当たって美しい景色が見られた
ほんの数分間、スポット的に夕日が当たって美しかった
日が陰ったあとのバレーの景色
翌朝は珍しく霧が出てバレーはまったく見えず、朝食後すぐにHOTELをあとにアンテロープキャニオンへと向かった。
途中見えた象の足の様な岩
遠くに見え始めた煙突はナバホの経営する火力発電所
道路と平行に鉄道が走っていて、山で採れた石炭を運びここで火力発電してナバホ族が使用して余った分は近隣の都市へ売って利益を上げているとのこと。
なのでナバホ人は観光や石炭資源を持っていて裕福なのだそうだ。
アンテロープキャニオンは煙突のすぐ近くにあった。数百キロ離れたところで雨が降ってもキャニオンには鉄砲水が流れ込むことがあるらしく、この日もギリギリまで入れるかどうか分からなかった。
過去観光客が事故にあったそうで、特にロウアーキャニオンは危険度が高く直前に漸く許可が下りた。
トラックの荷台に乗って着いたアッパーキャニオンの入り口
キャニオンの入り口(水の出口にあたる)は結構狭い
鉄砲水の浸食による模様が上部からの光で照らされて神秘的な風景を醸し出す
上部を見上げたところ
キャニオンを出たところだが、実際は川からキャニオンへ水が流れ込む入り口
今は水がないが一たび雨が降るとここから一気にキャニオンへと流れ込むらしい
次はロウアーキャニオンの入り口
アッパーと異なりかなり地下へ潜っているため、階段が作られていた
人がやっと通れるくらいの狭さ
光と影が織りなす美しいところで、光の線が見える様だ
水の力のすごさを感じる
夏場なら上部からスポット光がまっすぐに下りてくる場所らしい
最後は地下から這い上がる
水もここから入り込んで一気に先ほどの溝を流れ下るのだろうか
最後は、数キロ離れたホースシュベントというコロラド川が馬蹄型に蛇行する場所を断崖絶壁から見学した。
なんの変哲もない場所を1キロほどあるく
いきなり地面がなくなり眼下には深いキャニオンが現れて馬蹄型の川が見えた
小型のグランドキャニオンの様で、足元から切れ落ちる断崖の淵に立つと足がすくむ
いつかこの辺りもグランドキャニオンの様な谷になり、更に浸食が進むとモニュメントバレーの様な景色へと変わっていくのかもしれない。
眼下には船を浮かべて楽しむ人たちが見えた
<ラスベガス>
初めて訪れたラスベガスでまず驚いたのは各ホテルの規模の大きさだった。ホテルの中にパリやミラノの街をそっくりそのまま持ってきた様な巨大な施設があったり、いくら歩いても通り抜けられないほどのカジノが併設されていたりする。しかしストリップラインの両側に広がるエリアでは意外なほど治安は良いようで夜中まで人があふれかえっていて、まさに大人が時を忘れて遊べる街という印象だ。
ラスベガスの移動は主に安価なバスとトリムを使った。その他MGMグランド〜SLSラスベガス間を繋ぐモノレールやタクシーも利用できるが流しのタクシーがいないラスベガスではちょっと使いにくい。
バスは24時間運航しているDEUCEと呼ばれる2階建てバスと急行のSDXがある。どちらも一回(2時間以内は何度でも)6$だが一日券(24時間以内なら次の日も)でも8$なので一日券が断然お得だった。
かっこがいい急行のSDX
DEUCE の場合、乗車時に運転席脇の機械でも買うことができるし現金でもOK(将来は廃止されるらしい)だがお釣りは出ない。また SDXは車内で買うことができないのでいづれにしても自動販売機で事前購入するほうが安心だと思った。
ホテル、ベラッジオからモンテカルロの間をつなぐトリムは無料なのでとっても便利。
但し、乗り場の場所がわかりにくく事前に調べておいたのに何度も聞いて漸くたどり着いた。
ホテルベラッジオの噴水ショー
トレジャーアイランドの海賊船、残念ながらショーの時間は過ぎていた
フリーモントストリートにあるアーケードの天井にはLEDのスクリーンに映像が迫力の音響とともに次々と現れる
何でも1200万個のLEDが使われているとか
アーケードの下に張ってあるワイヤーを滑車で滑る「ファイトラインズ」という乗り物(?)
人と一緒にぶら下がっているカバンは落下防止の持ち物入れだろうか
ストラトスフィアホテルの頂上部分には4つの怖い乗り物があった
鉄骨のアームのような回転ブランコが建物の外に突き出しているインサニティ
シーソーの様に揺れながら外に飛び出すXスクリーム
世界一高い地点にあるフリーフォールに乗ってみた
昼間だと景色がよく見えて更に怖いらしい
ホテルの中とは思えないベネチアンリゾート内の運河
これもホテル内のベネチアの街
こちらはベネチアンホテルの前
こちらはパリスホテル
まるで夕暮れのパリの街を歩いているよう
パリスホテルの中の街、レストランが立ち並ぶ
ホテルをまたぐ様に立つエッフェル塔
ホテルの中にはエッフェル塔の足が、、このエッフェル塔には上ることができる
エッフェル塔の展望台から見たストリップと飛行場
ベラッジオの噴水の構造がよく見えた
ニューヨークニューヨーク
ラスベガスの街は度肝を抜かれるほど大らかな遊び心満載の街だった。
カジノでの収入が見込まれるためか超豪華な部屋のホテルの宿泊費も思いのほか安い。
各ホテルにはクラブもあって熱気がすごい、現地で聞いたところでは最近ではカジノよりクラブの収入の方が上回っているそうだからラスベガスの遊び方も変化しつつあるのかも知れない。