歩いてアルプス越え(ロートバッハルシュピッツェ(2897m))
2016年8月16日 歩いてアルプス越え(Austria ロートバッハルシュピッツェ(2897m))
アルプスを徒歩でオーストリアからイタリアとの国境を超えてロートバッハルシュピッツェ(Rotbachlspitze)という山に登ってきた。
オーストリアのツィラータール地方はミュンヘンから近くスイスに比べると物価も安いと以前より山友の岩松君から勧められていた事もあり、細君と是非訪れて見たいと考えていた。
そんな折、オーストリアの旅を計画した際にミュンヘン在住の岩松君に声をかけたところ、何と我々の日程に合わせて同行してくれる事となり、お陰で実に楽しい登山となった。
因みに彼のHP「南バイエルン地方の山登り&Ski Servus aus Bayern 」にもこのルートを紹介する記事がある。
このルート、イタリアの国境まではとても穏やかな路でマウンテンバイクで峠越えする人も居るほどだが、反面ヨーロッパアルプスらしいスケール感のある風景が楽しめる。
峠を越えたイタリア側にある山小屋(Pfitscherjoch-Haus)では美味しいスパゲティも食べられるそうで、岩松君と私が山頂へ向かっている間、細君はその味を堪能したらしい。
そこから上は本格的な登山道だが危険個所は無く良く整備されていて登り易い。最後の100m程はかなりの急坂に苦しめられたが、頂上からの眺めは格別に素晴らしいものだった。
そして登山の後のビールはまた格別の味だった。
オーストリアの滞在地マイヤーホーフェンはインスブルックから電車で約2時間ほどのところにあるチロル地方のツィラータール渓谷の中心部にあって、どの家にもバルコニーに色とりどりのゼラニウムなどの花が飾られている綺麗な町だ。
周辺の国との位置関係が分かるように地図を載せておこう。
マイヤーホーフェンから南に下ったイタリア国境にある山が今回登ったロートバッハルシュピッツェ(2897m)である。
宿泊したホテルEDERはマイヤーホーフェン駅から歩いて15分程の所にあった。家族的な雰囲気で素晴らしい宿だった。
当日起きてみると部屋から見た山が朝日で輝いていた。
今日は天気に恵まれそうである。
自家製のパンにチーズやハム、果物など、どれも最高に美味しいものばかり。
すっかりお腹がいっぱいになってから町のバス停まで歩いて行った。
バス停にあった酒屋(?)の面白い看板の前で記念撮影。
この後に来たバスはほぼ満席だった。
シュレークアイス・ダム湖の手前で工事渋滞が発生、30分程時間ロスしてしまった。
登山口となっているシュレークアイス・ダム湖は青く美しい湖である。
歩き始めると暫くはZamser Bachという清流に沿って緩やかな道が続いた。
ルートを左にとって登ったところで眼下を見ると日本では見慣れない景色が広がっていた。
前方にPfitscherjoch-Hausという小屋が見えた。
ここは山小屋と言うには大きなレストランとなっていた。
看板のあたりがイタリアとの国境で小さな小屋は恐らく昔の税関小屋との事。イタリア側からは車で登ってこられる様だ。
山小屋の手前から左にルートをとる。ここからが本格的な登山道となった。要所には丁寧な標識があって迷うことは無い。
すぐ後ろにPfitscherjoch-Hausとイタリア側の山脈が見えた。
右側にある尾根に登る。正面に見えているのがロートバッハルシュピッツェ山だ。
振り返るともう小屋がこんなに小さくみえた。
展望台で暫く景色を楽しんだ後、細君は山小屋(Pfitscherjoch-Haus)まで下り我々は山頂を目指した。
ロートバッハルシュピッツェ山は双耳峰で目指したのは右側のピーク。
途中で下を見ると先程登ってきたルートと小屋が手に取るように俯瞰出来た。右の大きな山はKellerkopf山(2648)だろう。
緑色に見えているのはイタリヤの町だろうか。地図で見るとイタリアのPfitsch Tal(Pfitsch谷、イタリア語でVal di Vizze)という地域らしい。
登山道には可憐な高山植物が咲いていた。
だんだん大きくなるロートバッハルシュピッツェ山。途中に日本の三角点の様な標柱が現れたが、これは国境石だそうである。
眼下には左側のイタリア国境に沿って美しい連山が見えた。雄大で美しいアルプスらしい景色だ。
次第に傾斜が増して最後の100m程は喘ぎながら登った。
素晴らしい景色に息をのむ。正面に見えるのはこの辺りの最高峰Hochfeiler山(3509)だ。
雄大な景色を前に何時までも眺めていたかったが、帰りのバスの時間が気になるので下山を開始する。
一気に飛ばして駆け下るとあっという間に小屋に到着、細君と合流した。
途中、マウンテンバイクで峠越えを目指す多くの男女とすれ違った。自転車でアルプスの峠を越えて隣の国へサイクリングとは洒落た楽しみ方である。
途中にあった水場。この水は当地のビールと同じ位最高に旨かった。持参したプラティパスを満杯にして持ち帰ったのは言うまでもない。
登山口にあるレストランで祝杯をあげた。登山の後のビールの旨いのは世界共通だが、このビールの味は忘れられない。
このCHRISTOPHORUS LINEのバスでマイヤーホーフェンまで戻った。
このコース、徒歩でアルプスを越えて隣のイタリアへ行けると言うのは魅力的だったし予想以上に歩き易かった。
峠にあるレストランも備えた立派な山小屋 Pfitscherjoch-Hausではスパゲティが美味しかったそうである(残念ながら自分は食べなかったが)。
しかし何といっても4時間程で登ったRotbachlspitze山頂(2895m)からの展望は素晴らしく、特に正面に見えた最高峰 Hochfeiler山や延々と続く山脈群が美しかった。
アプローチにバスを利用した事や登攀時間が読みにくかった事もあって頂上に10分程度しか居られなかったのが残念である。
車でアプローチ出来れば更に面白いコースを選ぶことも可能だろう。何時かまた訪れてみたい山である。
最後にこの登山を計画し案内してくれた岩松君に心から感謝したい。
<ロートバッハルシュピッツェ(2897m)山への登山ルート>
今回は旅行の前に応募していたEPSONのGPS時計(WristableGPS for Trek MZ-500B)に運よく当選したのでこの時計で記録したGPSデータを地図上に表記してみた。
モニターしてみて腕時計という形態でGPSが利用できるメリットを痛感した。
今回は時間がなく事前のルート設定とナビゲーションは使用しなかったが、電池の持ちも良いので今後大いに山行に活用してみたい。
生涯忘れられない楽しいツアーとなりました。海外の登山は天候に合わせるのが困難ですが、今回は天気が味方してくれましたね。昔からの仲間と楽しむ山は、またなんといっても格別です。また近々お越し頂けることを願います。
こちらこそ素晴らしいツアーを経験させて貰い妻ともども感謝しています。
ロートバッハルシュピッツェ山頂からの景色の雄大さ、清流添いの美しい景色、それに山の水や下山後のビールなど、忘れられない思い出が沢山できました。いつ実現出来るかは分かりませんが、今度はI君とヨーロッパの山々を再訪したいと話し合っています。