乗鞍岳バックカントリースキー
2013年3月22日~24日 乗鞍岳BCスキー
スキー仲間のI君と一緒に毎年恒例になりつつある春の乗鞍岳スキーだが、今回は乗鞍高原スキー場がオープンしている期間に行ってみようという事になり3月後半に計画した。
5月は天候は安定しているうえ、約2400mの位ヶ原までバスで上がれるので登りは楽チンだが、ゲレンデまで滑降すると藪こぎが待っている。
しかしスキー場がオープンしているこの時期ならリフトで約2000mまで登れるし、条件さえ良ければ頂上からゲレンデ最下部まで滑降出来るのが魅力的だ。
I君と相談の結果、比較的天気が安定していて条件がいい午前中に滑降したいということで、今回はゲレンデの上の森林帯でテント泊して早朝からアタックする事になった。
私は初めての雪中テント泊だったのだが、環境が良かったせいか思ったより快適で楽しく過ごす事が出来た。
ただし翌日の登頂時には流石にこの時期に相応しい強風に見舞われて標高2500m程で下山を余儀なくされた。
やはりこの時期、余程好条件でなければ登頂は難しいと思われる。
3月22日(金) 晴れ 弱い風のち強風
乗鞍高原スキー場の国民休暇村に到着
空いている駐車場に車を止めて早速準備を開始する
長期間泊って山を楽しんでいるのだろうか
我々も早速準備を始めた
まずはテントを張る為にゲレンデ上部を目指す
重たい荷物を背負ってかなり危なっかしい格好で滑べり始める
駐車場のすぐ脇からゲレンデに入って少し下るとチケット売り場が見えた
チケット売り場
この時間帯は人も少なくて閑散としていた
大きな荷物を横にずらしてリフトに乗るI君
リフト3本乗り継ぐとカモシカコースの上部に着く
カモシカコース上部は広い踊り場となっている
ここから先は人影も疎らとなるが
時折、テレマークや山スキーを履いた人たちが下ってくる
この上の急斜面を登ればテント泊に適した場所があるはず
早速スキーにシールを張って登り始めた
かなり大げさな装備を背負って出発する
先に見える斜面はかなりの急坂だ
この荷物を背負って下れるのか、少し心配になりながら登った
それでも息を切らせて登っていくと、斜度がきつくて途中からシールが利かなくなった
やむなくスキーを背負ってつぼ足で登るほどだったが
30分ほど登るとやがてコースはなだらかになった
この辺りは標高2100m程で周囲は深い森になっている
我々は傾斜のない平坦な場所を探してテントを張った
周辺のきれいな雪で水を作っておくことに
準備が完了したあと、ゲレンデで何本かスキーの足慣らしをした
久しぶりのスキーだが少しずつは上達している気がする
夜になると徐々に風が強くなって深夜には強風となった
風音から、梢が波の様に揺れているのが分かる
I君は相変わらずローソクの明かりを使っている
温かみのある仄かな明かりが揺らめいていた
風音は遠くから始まってテントの上を通って反対側に抜けた
何度も上空を通り抜ける風の波音を聞きながら
いつの間にか眠ってしまった
23日(土) 晴れたり曇ったり 強風
翌朝6:00 晴れていたが頂きの方角は厚い雲に覆われている
朝ごはんを済ませてテントに荷物を残して早々に出発した
暫くは森林ツアーコースが続く
振り返ると昨日降った雪が薄く積もっていて
自分たちの踏み跡だけが見える
森に囲まれていて風の影響も少ない
気持ちがいい朝だった
途中からスノーシューのI君が先行した
位ヶ原山荘方面への分岐
ここを左に曲がると位ヶ原山荘方面に行ける
真直ぐ進むと肩の小屋、剣が峰方面だ
これから先は森林限界を超えて一気に広いバーンが続くので
地図とコンパスで目標を確認しておく
今日は特に視界が利かないから肩の小屋にコンパスの矢印をセットした
急坂を登り切ると一気に風が強くなった
地吹雪で視界が利かないが、まだまだ大丈夫と暫く黙々と登った
だんだん傾斜がきつくなり、ウインドクラストした斜面にシールが利かなくなる
標高約2500m地点まで来たところで次の行動を相談した
風が強いだけだが、これ以上進むと転んだ時の危険度が増す
私のスキーのレベルを考えると、更にリスクが高くなるとの判断だ
ここまで来れた事を良しとして下山に転じる事にする
そうと決まれば、楽しい滑降に徹する
コンパスを逆にセットして出発した
木々が見えるとホットする
あの木々の何処かに下るべきポイントがあるはず
帰りはツアーコースを外れて遊ぶ
さっきまでの強風がウソのような穏やかな森林コースだ
ツアーコースに戻ると続々と登ってくる人に出会った
上の状況を聞かれて説明しながら下った
振り返るとだんだん晴れてきていた
と言うより風で雲が飛ばされたと言うべきか
時折頂上も見える
山の天気は山次第
今日は遅い方が正解だったかも知れないが
楽しい滑りも出来たから良しとすべきである
テントを撤収してゲレンデを下った
荷物を背負って上級コースを下るのは最高に怖かった
途中一度平坦な所でコケたら、立ち上がれずに本当に困った
重い荷物を持ったら、絶対にコケてはいけない事を思い知ったのだった