白馬岳 蓮華温泉からのテント山行
今年も登りたい山へは行けないまま夏山シーズンが終わり、秋山シーズンに突入しそうな時期となってしまった。
現在山小屋は休業しているところも多く、開業中でも定員を半分に制限して完全予約制となっており、山小屋の存続さえ懸念される状況が続いている。
登山では小屋での宿泊以外では密となる状況は殆どなく、行動中に感染するリスクはほぼ無いと考えられるが、問題は遭難した場合の救助活動やその後の入院、行き帰りの事故などでの感染リスクである。今回、以前から登りたかった白馬岳にこの様なリスクを可能な限り回避する計画を立てて挑戦する事にした。
白馬岳登山では最もメジャーなルートは白馬大雪渓を登りピストン、又は栂池方面へ下山するか鑓ヶ岳まで縦走して白馬鑓温泉経由で猿倉へ下山するルートだろう。
私自身大雪渓を歩いたことがなく何時か挑戦してみたいと思っていたが、大雪渓というのは落石の多発地帯でもあり雪崩の危険性もある。現に数年前にも夏山での雪崩事故で何人かが犠牲になっている。
また、暫くぶりのアルプス山行では体力面のリスクも考慮しておかなければならない。この様な危険要素によるトラブルの確率はかなり低いだろうが、万が一を考えてよりベターな計画を立てる事にした。
そこで今回は山小屋泊ではなくテント泊とする事、それに伴う装備の重量増と体力面の負担と比較的危険の少ないルートを考慮し、初日は蓮華温泉から白馬大池まで登りテント泊、2日目は軽装備にて白馬岳往復後テント撤収して蓮華温泉へ下山とする案を考えた。
若干面白みに欠けるかもしれないが、テントを背負っての登攀距離が短く体力面でのリスクが少ない、また危険な個所も殆どなく下山後その場で蓮華温泉に入れるというメリットもある。
蓮華温泉は高速を降りた後大町、白馬を過ぎて更に奥まで走ることになるため時間がかかったが、初日の行動は白馬大池までなので気が楽だった。
蓮華温泉にある駐車場に着くと平日にも拘らず60%ほど埋っていた。
早速準備をして歩き始めると登山口は蓮華温泉ロッジ奥に続いていた。初日の行動が長ければここに前泊するのがベターだろう。
実際の登山口。露天風呂の案内板の横に白馬方面と朝日岳方面への分岐の標識が立っていた。
これはソバナかな。いや花が輪生状なのでツリガネニンジンかも知れない。
久しぶりのテント装備の為、ゆっくり登っているとやがて天狗の庭なる場所に着いた。まだまだこれからが正念場。
ゆっくり歩ていて3時間ほどで白馬大池に到着。素晴らしいロケーションで遥々来てよかった。
受付を済ませてテントを張り終えると暇なので少し登って写真を撮った。右端付近のオレンジと紺色のテントが私のもの。テントも完全予約制だがまだ半分も埋っていない。
テント場付近に大きなナナカマドの木には沢山の実がなっていた。
翌朝は5時出発。白馬乗鞍の稜線の上部は既に明るくなり始めていた。
船越の頭付近まで来ると小蓮華山が赤く染まってきていた。
振り返ると深く濃い藍色の白馬大池が見えた。
急に日の出を見たいと思い急いで稜線に出ると何とか日の出に間に合った。もう10分早く出るべきだった。
いつもの事だが日の出と共に歩き始めると山に当たる日差しが一気に下り始めて、まるで競争している気分になるが、勿論ダントツにお日様の勝利となる。
標高を稼いでくるとやがて朝日に染まる白馬三山と鹿島槍ヶ岳姿が見え始めた。これらの迫力のある山々の姿は何とも素晴らしく、このルートの最大の魅力だ。
目の前に船越の頭が迫ってきた。
小蓮華では鹿島槍、五竜方面に朝日による陰影がつき、更に迫力を増した姿を見る事ができた。
前方には白馬岳の雄姿が見えた。
白馬大池方面を振り返ると遠くの雲海の上部に越後の山々が顔を出している。
船越の頭に到着。雲海が素晴らしい。
更に天空の稜線を進むと白馬岳と杓子岳の谷間に大雪渓の一部が見える。
小蓮華山に到着。
小蓮華山を過ぎるといよいよ白馬岳への道のりが見えてきた。白い石灰岩の道が美しい。
遠方を見ると槍ヶ岳、穂高岳が見える。
先ほど見えていた火打、妙高などの山々が更にはっきりと雲海から顔を出しているのが見える。
眼下には雲海の下に白馬方面の街並みが垣間見られる。
三国境付近に迫るといよいよ白馬岳への登りが始まる。
小蓮華山を振り返る。
三国境。ここから北へ延びる尾根を行けば朝日岳へと続く。但し、今年は朝日小屋は休業と書かれていた。常々花の時期に是非歩いてみたいと思っているルートだ。
這松の間にホシガラスが止まっていた。
遂に白馬岳山頂に着いた。
歩いてきた稜線。
南側には杓子、鑓ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、遠方に槍穂高連峰などの名峰がずらりと並んだ。
すぐ後ろには剣岳と立山連峰がそびえたつ。
槍穂高連峰をズームしてみた。
すぐ下に大きな白馬山荘の建物が見えた。
よく見ると山荘の上に荷物を運搬するヘリが飛んでいる。これだけの大きな小屋を維持するのはさぞ大変な事だろう。
南側が大きく切れ落ちている白馬岳の山頂。
暫く景色を楽しんでいたが小蓮華山方面に下から雲が押し寄せ始めたのを見て下山を開始した。
暫く下って振り返ると南側の山々にも雲の海が押し寄せていた。
白馬岳を何度も振り返る。素晴らしい山だ。
白馬大池まで戻ると大分テントの数が少なくなっていた。
何時かまた訪れたい小屋だ。
蓮華温泉の露天風呂、黄金湯を覗いてみた。こちらは別料金で入浴できるが露天風呂は朝日岳を周回する時まで取っておく事にした。今回は内湯のみで済ませる。
帰り道、白馬辺りで食べた冷たいお蕎麦。今回も蕎麦は外せない。