北アのスリルある稜線を歩く 爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳・五竜岳縦走(Day1)
度々訪れている北アルプスだが、何故か烏帽子岳以北の所謂後立山には一歩も足を踏み入れていない。この夏は是非第一歩を踏み出そうと思い爺ヶ岳から唐松岳に続く稜線を歩く計画を立てた。
計画に当たって色々調べているとこのルートを一泊二日で走破する強者もいて驚かされたが、私の体力ではちょっとリスクが高い。そこで今回は扇沢から柏原新道を経て爺ヶ岳に登頂後冷池山荘に一泊し、翌日鹿島槍ヶ岳、五竜岳を登頂後五竜山荘に宿泊、最終日に唐松岳に登って八方尾根から下山するという全く無理のない計画にした。
このルートは東側の隆起による険しい断層地形と黒部川の穏やかな地形の境界上に伸びる壮大な尾根は、この山域独特の変化に富んだ景観と天候の変化で歩いていて続き飽きる事がなく、また黒部峡谷を隔てて対峙する剱・立山連峰の景観も素晴らしく、久しぶりに気持ちのいい縦走を楽しむ事が出来た。
ただこの縦走の最終日には天候が崩れる予報となった為、唐松岳への登頂を諦めて五竜から直接遠見尾根を下山する事になったのが少し心残りだった。
前日の夕方車で扇沢まで行って扇沢出会いにある無料駐車場で前泊し、翌日の早朝から柏原新道を登った。
扇沢出会いの登山口から入山。
ここから柏原新道を登る登山者は多く、まだ夜が明ける前からヘッデンを付けて登る人が居た。恐らく一泊二日で五竜方面まで縦走する強者たちだろう。
昨日私が停めた扇沢対岸の無料駐車場は既に満杯だった。
少し登ると東側前方には爺ヶ岳を思われる山並みが朝日を受けて光って見えた。
駅見岬というのだから扇沢駅が見られるという事なのだろうか?
下を見てみたら確かに扇沢駐車場が良く見えた。ここから見るととても深い渓谷なのが良く分かる。
柏原新道は良く整備されている上、この辺りから夏の花々が見られてとても楽しめた。
丁度いいタイミングで小休止に適した標識があって良いペースで登る事が出来る。
かなりのペースで種池山荘に到着。流石に沢山の人でごった返している。
小屋のガラスには最近稜線でクマの目撃情報があるので注意と書かれた張り紙があった。
種池山荘前のベンチで小休止。前方には針ノ木方面へと続く稜線が見える。
烏帽子岳からこちら側までの稜線はまだ歩いた事が無く、何時か歩いてみたいと思いながら見つめていた。
種池山荘を後にすると爺ヶ岳へと続く美しく雄大な尾根が眼前に迫ってくる。
西側を見ると遠方に槍ヶ岳方面の山並みが見えた。
振り返ると稜線上に立つオレンジ色の種池山荘が見えて綺麗な風景だった。
やがて前方に爺ヶ岳が迫ってくる。
爺ヶ岳南峰に到着すると鹿島槍ヶ岳方面の展望が開けた。
長大な稜線が、まるで東側に沸いた多量の雲が西側に跨って流れ込むのを防ぐように続いている。
鹿島槍ヶ岳への稜線上に種池山荘も見えた。東側は険しい崖になっているのが良く分かる。
明日はあの長大な稜線を歩くのだと思うと期待に胸が膨らむ。
爺ヶ岳中峰に着くとNHKの取材チームらしき人達が撮影していた。
山頂に居た若者たちは対峙する剱岳にかかる雲が晴れるのを待っていて山頂が見え始めると大喜びして何とも楽しそうだ。
山頂が見えそうでなかなか見えない剱岳。雪渓に日が当たって光っているのが見える。
さっきまで居た爺ヶ岳南峰は目と鼻の先。
この山頂で小学生と思われる娘さんと一緒に登ってきた女性と写真を撮りあった後、冷池山荘に向かって降り始めた。
下り始めて振り返ると爺ヶ岳の美しい稜線が見えた。
前方にはいいよいよ冷池山荘が大きくなり始めた。
右側の崖の切れ落ち方が凄い。対照的に山荘方向に歩く人々はまるで蟻んこの様に小さく見えていた。
途中、大谷原への分岐を通過する。
今夜の宿冷池山荘に着いた。予想した以上の中々大きな小屋だった。
早速、手続きを済ませると部屋に案内して貰った。比較的早めに着いたので2階の部屋のとても良いポジションをあてがわれた。
何だかお腹が空いてきたので食堂でラーメンを注文。山で食べるラーメンは何故こんなに美味しいんだろう。
部屋に入ると窓から通過してきた種池山荘が良く見えて驚いた。
北アルプスにはこんな小屋が丁度いい間隔で点在していてとても便利だ。
大きな食堂でいただいた夕食。こちらもとても美味しかった。
隣に居合わせた人と話を始めたら、仙台から来たというので東北の山談義で大いに盛り上がってしまった。山小屋では色々な人との出会いがあってテント山行とは違う楽しさがある。
さあ、明日はちょっと長丁場でしかもキレット越えもあるから心して歩かなければならないなどと思いながら就寝した。