利尻島と礼文島の旅(礼文島編・・その➀)

2016年6月7日~11日 利尻島と礼文島の旅(礼文島編・・その➀)

スコトン岬から歩いてゴロタ山を越えると、優しい形の山稜を飾る花々の向こうにはこれから向かうゴロタノ浜と雲に覆われた稲穂岬までの美しい海岸線が見えた。

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美しいゴロタ浜と稲穂岬の海岸線

運良く利尻富士へ登頂した翌日、朝一のフェリーで礼文島へと渡った。

礼文島のトレッキングコースは島全体に幾つもあって、とても2日間では回り切れないほどある。その中から今回は以下の3つのコースを2日間で歩く計画を立てた。
➀礼文島北部の稜線に咲く綺麗な花と海岸線を見ながら歩き、コース終盤(西上泊~浜中の間)にはレブンアツモリソウ群生地の前を通る全長12.4Kmの「岬めぐりコース」。
➁礼文島南部、知床から元地灯台、桃岩展望台を経て香深へと続く全長約6.4kmの「桃岩展望コース」。
➂礼文林道元地口から林道に入り途中の分岐から西海岸にある礼文滝へと下りていく往復約10Kmの「礼文滝コース」。
選んだのは、花が多く礼文島の自然、海岸線が良く見えて楽しそうな道であることなど単純な理由だったが、実際に歩いてみるとその景色は私の期待を遥かに超えるものだった。

初日は➀、2日目に➁と➂を連結して歩いたが、沢山の花に出会い励まされながらも結構歩きがいのある道でもあった。
とにかく島全体が高山植物に覆われていると言っても良い程花の密度が濃く、初めて見る花も多かった。
その中でも自生するレブンアツモリソウとレブンウスユキソウに出会うことが出来たのは素晴らしい体験で、この時期を選んで本当に良かったと思う。

花盛りのこの時期、ツアー客で大いに賑わう礼文島だが、2日目の後半に歩いた「礼文滝コース」はその長い道程の為かツアー客はおろか個人の旅行者もおらず、道の両側に咲き乱れる花の道をたった一人で堪能する事ができた。
そして小さなアルプスを思わせる切れ込んだ谷を黙々と下り最後に行きついた海岸に降り立って見ると、そこには水飛沫をあげて落ちる綺麗な礼文滝が待っていたのである。自然が作り出す何ともドラマティックなシチュエーションに思わず感動してしまった。

そして驚いたことがもう一つ、桃岩展望コース途中ですれ違ったツアー客の中に私の所属する地元テニスクラブのメンバー、HAさんがいて一人歩く私を見つけて声をかけてくれたのだ。6月の平日にこんなところで出会うなんて何て奇遇なのだろう。お互い反対方向に向かっていたのでその場は握手して別れたのだが、後で聞いたところHAさんも一人でツアーに参加していたそうである。

礼文島で花のトレッキングを堪能した後は稚内へ渡り、帰りのフライトまでの時間を利用して宗谷岬まで市バスで往復した時の事。
礼文島へ渡ってからはあいにく雲が多くとうとう最後まで利尻島は見えずじまいだったが、宗谷岬を観光して帰る道すがら、ふと稚内の半島の上を見た時、そこにでっかく突き出た山が利尻富士だと分かって嬉しかった。そしてバスが半島の影に隠れてしまうまでずっと見えていたその姿が強く印象に残った。

<全体の行程概略>
6月7日:羽田→新千歳乗継→利尻空港(空路)、宿チェックイン後 バイクで島内観光
6月8日:利尻富士登山、島内観光(観光バス)
6月9日:利尻島→礼文島(フェリー)、礼文島 岬めぐりコーストレッキング(スコトン岬~浜中)
6月10日:礼文島 桃岩展望コース~礼文滝コーストレッキング、礼文島→稚内(フェリー)
6月11日:稚内→宗谷岬(市バス)、稚内→羽田(空路)

<お願い>
初めての花が沢山あって文中で名前が分からなかったり間違えていたりすると思います。
もし気が付いた方はコメント又はメールで知らせて頂ければ幸いです。

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「利尻島と礼文島の旅」礼文島編・・その➀は、礼文島での「岬めぐりコース」トレッキングの話である。

初日はフェリーで香深港に着いたのが10時5分、旅館「一番館」の主人柳谷さんが港で出迎えてくれた。
柳谷さんは昭和初めの生まれで、私の母に近い年齢だがとても元気な人で島に纏わる色々な話を聞かせて貰えて楽しかった。
通常は宿に直行するところだが、10時45分発のスコトン岬行のバスに乗らないと「岬めぐりコース」を歩くチャンスが無くなるので、柳谷さんに荷物一式を預けてサブザックでバスに乗り込んだ。

バスは礼文島の東海岸に沿って北上した。途中、浜中というバス停を経由したが、ここが「岬めぐりコース」の終点となっていて島の北端であるスコトン岬から反時計回りに浜中までの12.4Kmのコースとなっている。

バスは30分程走るとだんだん雲行きが怪しくなり約1時間程経ってスコトン岬に到着する頃にはすっかり雨模様となっていた。
バスを降りるとそこには小奇麗な売店と最北端と書かれたトイレが立っていた。

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売店の北側にあるスコトン岬の展望台。

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日本最北端のトイレ

実はスコトン岬で昼食をとって歩き始めようと考えていたのだが、売店ではウニの握り3貫など軽い食事しか扱っておらず、取りあえずこの寿司を食べ、後は持参した行動食を食べながら歩く事にした。
浜中に夕方止まるバスは16:07だから約4時間でコースを歩く必要がある。

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少し歩いて振り返ると、先程までいたスコトン岬が良く見えた。

いきなり道に咲いていた花は所謂、高山植物だった。

岡の様な山を暫く登っていくと島の西側の海岸線が見え始めた。
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スコトン岬方向を見ると、眼下には小さな鮑古丹の村落と海岸が見えた。

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前方には雲がかかった標高180mのゴロタ山とゴロタ岬が見える。

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近づいて見るとゴロタ山へは結構な坂道が続いていた。

この周辺に咲いていた高山植物。

北の気候の為だと分かっていても、海抜100mにも満たない所にこんなに高山植物が咲いているのに驚きを感じる。

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ポイント毎に時々現れる素朴な標識。

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いよいよゴロタ山へ一直線に伸びる路を登り始める。

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途中、眼下を見ると透き通った海の中が見えた。晴れていればさぞ綺麗だったろう。

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ゴロタ山頂上付近には沢山の花が咲いていて飽きない。

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少し息を切らせて登り切ると、コースは左に方向転換し始めた。
たまたま前を歩く人が良いペースでリードしてくれたのでとても助かる。

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前方にこれから向かうゴロタノ浜から稲穂岬までを結ぶ美しい海岸線が見えた。

結構な距離がある。稲穂岬まで歩いた後、大きく左に曲がって半島を横断しなければならない。
本当に4時間で歩ききれるのか少し不安を覚えた。

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目の前には花々と切れ立つ断崖、青い海の景色が広がっていた。

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美しく広い稜線を歩く。

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スコトン岬方向を振り返る。

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至る所に咲いていたネムロシオガマ。初めて見る花である。

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やがて道はゴロタノ浜へと下り始めた。

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ゴロタノ浜の南にある鉄府の集落まで1.5Kmの海岸線を歩く。

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浜にも色とりどりの花々が咲いていて飽きない。

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ゴロタ山方面を振り返る。

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集落を通り鉄府漁港を過ぎると左側の岬へと登りが始まった。

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岬に登るとそこには一段と華やかなお花畑となった。

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稲穂岬が見える。

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岬の反対側には西上泊漁港(?)が見えた。

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今まで歩いてきた長いルート全景。下に見えるのは鉄府漁港。

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澄海岬に立ち寄ってみた。展望台からは切り立った崖が入り組んだ海岸線が見える。

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澄海岬を過ぎると半島の内陸へと進み、やがてレブンアツモリソウの群生地に到着した。
ここはレブンアツモリソウが手厚く保護されている場所だ。

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レブンアツモリソウは5月末頃が見頃なので既に盛りを過ぎていて、あと数日で終わってしまうところだった。

幸いなことにまだ綺麗な株が残っていて目を楽しませてくれた。
レブンアツモリソウに混じって鵠沼ランという珍しいランも見る事ができた。

この施設の説明員の方と話している時、赤いアツモリソウが咲いている場所を教えて貰ったのでバスの時間までの間に見ようと教えて貰った場所に急いだ。
赤いアツモリソウは本来既に枯れている時期らしいが、ラッキーにもまだ元気な姿を見る事が出来た。但しこの花は礼文固有種ではないかも知れない。

又ここに映っているレブンウスユキソウは宿の裏に咲いていた花で、ご主人が植えたものだそうだ。この他にもミヤマオダマキなども民家の庭先に沢山咲いているのが見られた。
それにしても庭先にウスユキソウが育つなんて、何だかちょっと不思議な気がする。

宿のご主人によれば、昔は家の周りには自生するアツモリソウが歩けば踏みつぶしてしまうほど沢山見られたそうである。それが高値で売られる様になり島の内外からの人によって乱獲されてしまい現状の様に保護しないと絶滅してしまう様になってしまったと言うのである。この地にしか育たないと分かっているはずなのに、とても残念なことだと思った。

花を愛でながらとはいえかなり速いスピードで歩いた為、何とか16時7分のバスに間に合う事が出来て良かったものの、ゆっくり昼食を食べたりしていたら間に合わなかったかも知れない。
途中、ゴロタノ浜で一緒になったご婦人方とも浜中のバス停で再会できたが、彼女らは早いバスで来て途中鉄府海岸からショートカットの道を歩いてきたそうだ。
昔4時間コースとも言われていたこのコースだが、ゆっくり歩きたいなら朝一のバスでスタートするなりタクシーを利用するなりした方がベターだろう。

初日の素晴らしい花と海岸線の旅は終わり、その晩は一番館でゆったり休む事が出来た。
特に夕食に出た珍しいウニの土瓶蒸しがとても美味しかった。

利尻島と礼文島の旅(利尻島編)はこちら
利尻島と礼文島の旅(礼文島編・・その➁)はこちら

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<礼文島 岬めぐりコースの地図>

礼文島岬めぐりコース

 

<礼文島 岬めぐりコースの標高データ>

礼文島岬めぐりコース標高グラフ

 

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