2016年6月7日~11日 利尻島と礼文島の旅(前編・・利尻島と利尻富士)

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8合目(長官山)まで登ってくると端整な姿の利尻山が現れた

ついに名峰利尻富士へ登ってきた。

まだまだ登りたい山が近くに沢山あることもあって、今まで北海道の山には一度も登ったことが無い、
しかし思いは次第に募ってきて、昨年7月に利尻登山を計画して航空券まで購入済みだったが残念ながら実現には至らず、どうせ行くなら利尻登山だけではなく島の観光や礼文島のトレッキングも思う存分楽しみたいという気持ちが一層強くなった。そんな中、今年再びチャレンジして遂に利尻富士の山頂に立てた時には本当に嬉しかった。
そして山頂からの眺めの素晴らしさもさることながら、島の内外から見た利尻富士の美しさはまた格別なものがあった。

両島での滞在中は目まぐるしく変化する天気に翻弄されつつも、宿の人の温かいもてなしを受けたり観光バスガイドさんの解説で島の理解を深めることも出来てとても充実した時を過ごせた。
そんな利尻島や礼文島での体験を思い出しながらこの旅行記を書き始めている。

この登山計画を作った際、最も苦労したのは如何に天候と滞在日程の折り合いをつけておくべきかに尽きる。
利尻登山をする為には最低限3日間を要するが、肝心の登山日に天候が良いとは限らないから予備日を設けようと考えると日数がかさんでしまう。当初これを解決するにはテント泊しかないと考えて計画をしていた。

一方、アツモリソウで有名な礼文島へも立ち寄る事を考えると開花時期である5月末から6月初めがベストだが、そうなると今度は利尻山の残雪やテント泊の寒さ対策等で荷物が多くなる事が課題となる。
色々考えた挙句、アツモリソウが咲いている期間で雪の影響も少なくなる6月前半を設定、逐次残雪の情報を得ると同時に直前まで天候を観察しながら宿を予約するべく計画を練っていた。

航空券はだいぶ前に手配済みで4泊5日の日程は変えられないから、天候などで最悪の場合には利尻登山を優先して礼文島立寄りをパスする覚悟だったが、幸いにも登山予定日の天気予報はまあまあで、直前に礼文島の宿をキャンセルせずに済んだ。

<全体の行程概略>
6月7日:羽田→新千歳乗継→利尻空港(空路)、宿チェックイン後 バイクで島内観光
6月8日:利尻富士登山、島内観光(観光バス)
6月9日:利尻島→礼文島(フェリー)、礼文島 岬めぐりコーストレッキング(スコトン岬~浜中)
6月10日:礼文島 桃岩展望コース~礼文滝コーストレッキング、礼文島→稚内(フェリー)
6月11日:稚内→宗谷岬(市バス)、稚内→羽田(空路)

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「利尻島と礼文島の旅」前編は、利尻島観光と利尻富士登山記である。

直前までFix出来ず。そんな綱渡りの計画に従って6月7日遂に羽田を出発したのだった。
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利尻島上空まで飛んで来ると、眼下には島と言うより海上から聳え立つ利尻富士そのものの全容が見えた。
それにしてもなんと凛々しい姿なのだろう。正直、例え登れなくてもこの姿が見れただけでも来て良かったと思った程だ。

利尻空港には予定通り14時丁度に到着、預けた荷物を受け取って外に出ると宿の車が待っていてくれた。

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宿泊した田中屋ひなげし館は、鴛泊フェリーターミナルから程近い、利尻山鴛泊コースの登山口へ向かう道の途中にあった。
今回は各場所への送迎や登山情報の提供など色々お世話になった宿である。

チェックイン後、早速フェリーターミナルにあるレンタルバイク屋さんまで歩いていく。

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港まで来ると正面に利尻山が見え始めた。
レンタバイクは1時間1000円、島内周回するには3~4時間程かかるが今日は17時までで閉店するらしく2時間しか借りられなかった。
制約時間2時間なので取りあえずオタドマリ沼と姫沼の二つに絞って回る事にした。

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島の海岸線を時計回りに回り始めると静かな漁港が見えた。
最初は海風を受けて気持ちよく疾走していたが、その内寒くなった。島には殆ど信号機は無く、車も少ないから走りっぱなしなので簡単な防寒具では寒くて仕方ない。

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オタドマリ沼に到着すると沼の向こうに凛々しい利尻富士が聳えていた。
この風景は北海道土産で有名な「白い恋人」のパッケージデザインの基となった事で知られているそうだが、確かにここから見ると上部の険しさが際立っていてすそ野も広く、より立派に見える。

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港へ帰る途中、山の側にある姫沼へ立ち寄った。ここも静かで綺麗な景色の場所だった。

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姫沼に映った逆さ利尻富士と共に深い緑が映っていてとても綺麗だった。こちらから見る利尻富士は少し優しく穏やかな山容に感じる。

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こちらはバイクで走っていて時折見かけた「利尻ヒナゲシ」の花。何とも言えない薄い黄色が美しい可憐な花だ。
残念ながら利尻富士の8合目付近に生息している野生の利尻ヒナゲシは殆ど見られなくなったそうで、町中で見られる花は人が育てている雑種らしい。
そう言えばフェリーターミナル内の売店で利尻ヒナゲシの種(雑種?)を売っていたのを見かけた。私には野生のヒナゲシとの違いは分からないが山に生息する野生種が無くなるのはとても残念なことだ。

明日の天気は曇り一時雨の微妙な予報に少し不安を覚えながらも早めに就寝した。

<利尻富士登山>
翌日、早朝に起きると弱いながら雨が降っていた。見上げると不思議なことに山頂が見えたので天候は回復方向なのではないかと希望的観測をした。
しかし周囲が海に囲まれたこの山では風が最も怖い。森林限界を超える辺りで強風が吹いていたら引き返す覚悟で出発する事にした。
宿の送迎バスにはもう一人の登山者と私の二人が乗り込んだ。

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5分程走ると北麓野営場にある鴛泊コースの登山口に到着した。
野営場は管理棟やバンガローが立ち並ぶ立派な施設となっている。
バスで一緒の方は宿が準備した朝ごはんを食べるとの事で私は一人で出発した。

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数分歩くと甘露泉があった。宿で汲んだ水があったので一口飲んでそのまま進む事にしたが名水100選に選ばれただけあってとても美味しい水である。

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更に10分程進むとポン山への分岐に到着、しかしポン山への道は昨年秋の暴風雨による倒木で通行止めとなっていた。

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利尻山への登山道にも沢山の倒木が見られたが、道の整備は完了していた。

出発前の事だが、昨年末発行の「登山情報」では倒木による登山道閉鎖となっていたがその後の情報がなく心配して当地の町役場へ問い合わせしたところ、私が登る頃には整備が完了しているとの説明を受けて一安心したのだが、実際に来て整備状況を見ると大変な作業だったことが分かる。この島の自然環境の厳しさを感じると共に観光事業の一環とはいえとても有難いことだと思った。

暫く樹林帯を進んでいると可憐な花々が出迎えてくれた。

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5合目を過ぎると海岸線の向こうに礼文島の姿が見えた。この頃には雨も止んで時折日差しさえ出始めた。

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最初のトイレブースが立っている。ここ利尻山では登山口以降トイレは無く、各自携帯トイレを持参してこの様なブースを利用しなければならないルールとなっている。
私も事前に準備はしていたが今回は宿泊した宿からも1つ提供されていた。島内ではそれ程徹底してルールを守り島の自然環境維持に努力しているのだ。

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7合目の胸突き八丁を過ぎ標高1120mの第二見晴台まで来ると雪渓が目の前に迫って来ていたが、まだ登山道には雪は無かった。

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やがて8合目の長官山に到着すると、目の前に初めて利尻富士の山容が確認できた。

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遠方海上には広大な北海道の台地が横たわって見えた。稚内からここまで約50Kmの距離がある。

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前方には避難小屋が見えた。

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小さな避難小屋には数人は避難できるスペースがあったが今日は誰もいない。
外には2つのトイレブースがあった。

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避難小屋を過ぎるといよいよ最後の上りが始まる。目の前には雪渓のトラバース道が現れた。
登山道の周囲にはハクサンイチゲやエゾエンゴサクの見事な群落が見られて楽しかった。エゾノハクサンイチゲは本州の花に比べやや大きく立派な感じがした。

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隣には鋭い角度の美しい尾根が迫っていた。

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標高1410mの9合目に到着、最後のトイレブースとなる。

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ここからはさらに傾斜が増し、登山道の浸食が進んでいた。

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沓形コースとの分岐点に着いた。

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沓形のコースは雪渓で覆われているが足跡は無く、現時点では誰も登っていない様子である。
沓形コースの登山情報によれば残雪が多くアイゼンとピッケルは必須であり、雪渓により登山ルートが見つけにくい等の注意事項が記載されていた。

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更に登ると鴛泊コースにも雪渓が現れたが幸いキックステップが利く程度に緩んでおり持参したアイゼンは使わずに済んだ。

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遂に利尻富士頂上(北峰)に達した。この時人影はなく頂上には自分ひとりだった。
この写真は後から登ってきた千葉から来た登山者に撮ってもらったものだ。

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こちらは登山道が一部崩壊していて登れない南峰とローソク岩。

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眼下に見えた鴛泊港。

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こちらは沓形港。

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頂上から見た礼文島は雲一つなく、あちらからも利尻山がはっきり見えていることだろう。

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稚内方面、一番左端は宗谷岬だろうか?

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山頂からぐるっとビデオを撮影してみた。

山頂では宿で準備してくれたお昼を食べたり写真やビデオを撮影したりしていたが、やがて一人の登山者が登ってきて二人で登頂した喜びや景色の素晴らしさ等を話したりして過ごした。
千葉から来たこの登山者は昨日まで礼文島を散策してきたそうで、色々な情報を聞かせて貰った。又、彼も今朝の天気の中、迷った末登ってきて本当に良かったと話していた。
山頂の気温は7℃だったが、ほぼ無風で寒くはなかった為、約1時間ほども滞在していた。この時期、これだけ居られたのは幸運だった。彼に下山する由伝えると何時までも去りがたい頂上を後にした。

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下山し始めるとエゾリスが現れて登山道の真ん中で止まった。
こちらの方を向くと「撮るんなら早くしてよ」と言う。

徐にカメラを出して急いで3枚ほど撮った一枚がこの写真。もう少しアップのものもあったがこの一枚が周囲の状況を含めて良く撮れている。
撮ったよと言うと、あっという間に反対側の谷筋へとすっ飛んで行ってしまった。嬉しい出会いだった。

この後も足元の高山植物を愛でながらの楽しい下山が続く。

エゾハクサンイチゲはまだ開花前の蕾が沢山あり、これから7月にかけて満開になればさぞ素晴らしい花園になるだろうと思われた。
花を撮りながら下っていると、朝バスで一緒になった人や数人の男女のグループとすれ違った。それぞれ花を楽しみながらゆったりと登山していた。

結局、今日の登山者は総数10人足らずといったところだろうか。

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8合目まで下って振り返ると再び美しい利尻富士が見られた。登山道上からはこれが最後の見納めだ。

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眼下には昨訪れた姫沼が青く光って見えた。

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最後に礼文島を見て、明日向こうから見える利尻富士を想像しながら下山をつづけた。

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お昼過ぎ、無事下山。北麓テント場には誰もいない。
まだ早いから宿に戻ってシャワーを浴びた後、昨日残った島内観光に出かけようと外に出ると何と再び雨が降っていた。

流石にレンタバイクでの観光は諦め、宿のご主人に相談してみると2時発の島内観光バスがあるとのこと。
バスなら多少雨が降っていても楽ちんとばかりに、お願いして港のバスターミナルまで送ってもらった。

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ターミナル前の食堂で海鮮ラーメンを食べてから午後の観光バスに乗り込んだ。
島内1周して3200円。しかもガイドさんのお話も聞けるんだから乗らない手はないだろう。

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下界は雨なのに相変わらず山の頂上はクッキリ見えている。上は雨が降っていないのかも知れない。
ガイドさんから島の歴史やクマ、キツネなどが生息していない理由、利尻ヒナゲシの話など興味深い話を沢山聞けてバスでの島内観光はとても楽しかった。

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翌日は朝一番のフェリーで礼文島へ渡った。

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離れていく利尻島は半分雲の中である。昨日は登山出来、頂上からの展望も得られて本当に幸運だった。何時までも忘れられない思い出である。

北海道にはまだまだ素晴らしい山々が沢山あり、その何れも一筋縄ではいかない雄大な山ばかりであるが、私にとってお金と時間と体力が許す限りチャレンジしたい魅力的なフィールドである事は間違いない。

利尻島と礼文島の旅(礼文島編・・その➀)はこちら
利尻島と礼文島の旅(礼文島編・・その➁)はこちら

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利尻山

<利尻富士 鴛泊コースのルートデータ>
利尻富士

<利尻富士 標高データ>
今回、横軸を時間表示にしてみました。
利尻岳登山標高データ(時刻表示)