池塘が美しい火打山&妙高山に登る

笹ヶ峰口から富士見平を経て高谷池ヒュッテを過ぎるとヒュッテの前に広がる美しい高谷池が広がっていた。

8月に入って天気も良くなり再び綺麗な新潟の山に登りたくなった。そこで未だ訪れていない新潟で最も有名な山である火打山&妙高山に登る事にした。

それぞれ日帰りも可能な様だが新潟まで出かけて日帰り2回は効率が悪いので、一般的な笹ヶ峰口からの周回ルートを歩く事にした。初日は時間も限られてくるので火打山へ登り、高谷池ヒュッテで宿泊した後、翌日妙高山へと登る案を作った。

高谷池ヒュッテは前評判が色々で酷評する人が居る一方、とても人気があって予約が取れない小屋としても知られているそうだが、直前に管理している役所に電話してみると丁度キャンセルが入ったとの事で幸運にも予約が取れた。受け答えしてくれた女性も快活で親切そうだったので安心して出かけてみる事にした。

当初テント泊も考慮していたのだが、事前調査の結果テント場が非常に狭い事が分かった。トップシーズンに関東から出発した場合、着時間によって張れない事も十分考えられる。その場合完全予約制を取っている小屋に泊めてもらうしかないが、急ぐあまり焦ってケガでもしたら元も子もないので今回は素直に小屋泊まりを選択した。

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神奈川を早朝に出発、上信越自動車道の妙高高原ICを降りて県道39号線を辿ると乙見湖にほど近い笹ヶ峰キャンプ場に隣接して登山口があった。

登山口に着くと立派な門に人が立っていて山の情報提供や登山届を出すよう促されたがCompassにて登山届は提出済なので協力金のみを支払って通過した。

歩き始めるといきなり木道が続き良い雰囲気の登山道だった。

2時間程の山道を登っていくと前方に大きな山並みが見え始めた。恐らく火打山と焼山ではないだろうか。焼山は現在噴火警戒の為(?)登山禁止となっているはずである。

急な傾斜を過ぎてトラバース道を歩いていると遠くに足場が組まれた高谷池ヒュッテらしき建物が見え始めた。

近づいて見ると同じ傾斜屋根の建屋を増築中だった。屋根に沿って太い鉄骨が配置された堅牢な造りとなっているのには驚いた。

これなら新潟の厳しい環境にもしっかり耐えて永く使えるだろう。

ヒュッテで受付を済ませてヒュッテの前庭から高谷池側を見ると真ん前に火打山と焼山が見えて頗る景観が良い場所だった。

小屋の前にはテント場もある。小屋から見る範囲ではそれほど広くはなくせいぜい15張り程度が限界だろうと思われる。しかしまだまだ余裕があるので当初の心配は杞憂だった。しかし最悪の事を考えて小屋泊まりとしたので仕方がない。

それにしても周辺には花が沢山咲いていて本当に良い時期に訪れたものである。

小屋に荷物を置いて早速軽装で火打山へ向かう事にする。

少し登った所から振り返ると高谷池の池糖が美しく、その向こうにお洒落な佇まいの高谷池ヒュッテが立っていて絵になる。

鬼百合に噛り付くアゲハ蝶。

少し登ると平らになり木道も現れた。

木道を進むと新たな池塘群が現れて、標識には「天狗の庭」と書かれていた。標高2110mにあるこれ程の池塘群は珍しく苗場山の池塘を思いだす。

その池塘に火打山が映って美しかった。

そして池塘の周辺には沢山のワタスゲが咲いていて、池に映る様は正に桃源郷の様だ。

ヒュッテに着いた時点でも結構疲れていたが天狗の庭からも更に急登が続き、へとへとになりながら漸く山頂に辿り着いた。

西側には焼山が雲に見え隠れしていて迫力のある姿を見せていた。

周辺のお花畑は何とも言えず綺麗だった。これらを見ているだけで来て良かったと心から思った。

山頂直下から天狗の庭を見下ろすと何とも言えない綺麗な自然が残っているのだろう。新潟の山らしい景色だと言える。

少し下って来て振り返ると、コバイケイソウの向こうに火打山が映えていた。

ヒュッテに戻ると、何とテント場が一杯だった。20張りは越えているだろう。もう満杯だ。

ここまで混んでしまうとテント泊ならではの開放感などのメリットも半減してしまうことだろう。

一方、小屋の方も一応予約で満員との事だが、完全予約制の為か布団1枚に一人というので比較的ゆったりしている。しかも到着が早かった事もあり壁際の独立した場所にスペースを貰えたので頗る快適だった。結果として大正解。この日は初日の疲れも有りぐっすり眠る事が出来た。

翌朝、ヒュッテの2階から外を見ると朝日に照らされた火打山と半分日が差し込んだ高谷池が綺麗だった。

少し登って行くと北西側の展望が開けて幻想的な景色が広がる。空との間に真直ぐに引かれた線は水平線だろうか?

少し東側に目を向けると雲の下に山並み、雲の中や上に頂が幾つも見えるという今まで見た事のない景色が広がる。

更に南側にも幻想的な山の重なりが続いていた。

再び南西を見ると水平線と思われた線上に島影が見えた。これはもう水平線としか思えず、だとすればあの島影は佐渡島だろうか?

ピークを越えると黒沢池と思われる先に100m程のピークが現れ、更に奥には妙高山と思しき山頂が見えた。

少しピッチを上げて黒沢池に向けて下り始めた時、坂の途中に一人の登山者が立っているのに遭遇した。

何やら困っている様子なので声を掛けると、ぬかるんだ坂で転び足首当りを捻挫か骨折したらしいと言う。見れば道端に大きなテント装備のザックが置かれていた。もう少しで黒沢池ヒュッテがあるはず、恐らく1Km程の地点である。

これは捨てていけないと思い、私のストックを渡して片足で歩けるか試してもらうと何とか行けそうとの事だったので、彼の荷物を背負い自分の荷物を前に抱えて歩き出した。彼はケンケンで下るから時間が掛かる。私は早く小屋番に助けを求める為に急いだ。

小屋に着くと小屋番は一人らしく、助けには行けないので救急に連絡してくれるとの事だった。私は彼を迎えに戻ると片足を上げながらも気丈に頑張って程なく小屋に着いたのだった。

ともあれ、救助隊を頼んでくれたし彼も元気そうだった。暫くは待機していたがまずは一安心なので小屋番に彼を託して私はそこで別れて妙高山へと登る事にした。

暫く登ると堂々とした姿の妙高山が迫ってくる。

相変わらず雲海の中に幻想的な山並みが重なって見える。

途中、綺麗な清流が流れていて涼しさを感じさせてくれた。

更に急坂を登って行くと妙にくねくねと曲がった木々の道が続く。

そして遂に妙高山北峰の山頂に着いた。山頂には沢山の人がいてその内の一人に撮影をお願いした。

山頂から火打山方面を振り返ると昨日よりも晴れ渡って山並みが良く見えた。

北アルプス方面は雲が掛かっているが、それでもいい景色が見られて満足だった。

暫く山頂に居ると黒沢池方面に飛ぶヘリが見えた。恐らくさっきの彼を救出しに来たのだろう、これで一安心である。

妙高山の妙高大神の標識を見てから下り始める。

帰りは池尻という地名(恐らく黒沢池の端という意味だろう)を経由して富士見平へと下った。ここもワタスゲが沢山咲いていた。

延々と木道を歩く。

木道脇にはチングルマの穂が沢山あって最盛期にはさぞ綺麗だったに違いない。

サンカヨウも既に実が生っていた。

富士見平を過ぎると登ってきた道をひたすら下るだけだ。途中河原で登山者たちが沢山遊んでいた。

あっと言う間に登山口へ着いたが、色々な事があったせいか安心すると同時にちょっと疲れが出た。

新潟の著名な山で何時か登ろうと思っていた火打山と妙高山だったが、登った印象は想像以上に美しい山だった。もう少し早い時期の花々を見てみたいし恐らく秋の紅葉も素晴らしい景色を見せてくれそうである。

何時かまた訪れてみたい山である。

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