秋色に染まる涸沢トレック

2015年10月2日~4日 秋色に染まる涸沢トレック
秋色に染まった涸沢カール

秋色に染まった涸沢

涸沢という場所は穂高連峰への登山の中継基地であり通常はあまり目的地にはならないが、紅葉の季節だけは少し様子が異なる。
私も毎年この時期になると涸沢の様子が気になって紅葉のピークを予測しつつ天気予報に釘付けになるのだが、中々予定がつかなくて何時も断念してきた。
しかし遂に今年、山友のI君と示し合わせた日に決行し思い描いていた涸沢の紅葉を見る事が出来た。

涸沢では予報通りの快晴となりナナカマドの赤やダケカンバの黄葉が青い空に映えて、まさに錦繍の園というのにふさわしい景色だった。
そしてパノラマコースから「屏風の耳」へ立ち寄ってみると、紅葉の涸沢を取り囲む穂高の峰々や南岳~槍ヶ岳の主稜がずらっと目の前に並ぶ絶景に出会う事が出来たのである。

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数日前に発生した爆弾低気圧の影響で出発予定日の10月2日の予報は雨及び強風だったが、前夜の予報で午後から急速に回復するとの事で決行決定、雨の中を出発して新宿発上高地行のバスに乗り込んだ。
上高地に到着した頃には天気はすっかり回復し、昨日降った雨で濡れた木々が輝いて見えた。

上高地バスターミナルで登山届を出した後、定番の昼ごはんを食べて横尾に向けて出発した
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河童橋の上に見えるはずの穂高の稜線は残念ながら雲に隠れて見えない

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何時もながら気持ちのいい涼風が吹き抜ける上高地の散策路を歩き始めた

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明神館に着く頃には明神岳の上は早くも青空に変わっていて、天候の回復を実感する

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昨夜は長野地方も大雨が降ったはずだが、梓川は何も無かったかのように美しく大らかに流れている

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徳沢園に着くと憧れの芝生のテント場が迎えてくれる
自分は何時も通過するだけだが、こんな場所でテント泊なんて何という贅沢なんだろうと毎回思ってしまう

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こちらは徳沢園の建屋

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入口の照明やプレートもお洒落、そして何時も漂ってくるお香の香り
白樺の下を清流が流れ芝に囲まれたテント場とお洒落な雰囲気の建物、そしてこの香りの演出に、私はここに来ると必ずやられてしまうのである

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花の時期は終わっているから横尾までの長い平坦路は結構退屈でもある
途中見つけた大アザミにちょっと驚き、そして励まされた

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横尾にに到着
昨日からの天候のせいかテントは何時もよりは多いが、思ったほど埋まってはいなかった

早速テントを張ってから小屋で料金を支払い初日の祝杯を上げた
横尾は深い谷間にあるので夕方6時半を過ぎる頃には真っ暗になった
空には満天の星が輝き始め、天の川やカシオペヤをはっきりと見る事ができた
明日はいよいよ涸沢に向けて出発である

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朝を迎えた横尾山荘
昨夜はかなりの冷え込みで思ったより寒かった

相談の結果、混雑が予想され、更に寒いはずの涸沢へテントを上げるよりこのまま横尾をベースにして軽い装備で涸沢に行った方がベターとの結論となった
涸沢での夕陽や朝日が登るシーンが見られないのは残念な気もしたが、この方が合理的である

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歩き始めると山の頂の真上に月が見える
空気は冷たいが透明で、全ての物が輝きはっきりと見える

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本谷橋まで来ると何時もより多くの人が休んでいた

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涸沢と横尾本谷の沢が合流する本谷出会付近
この谷の上に見える横尾尾根の向こう側に槍ヶ岳があるはずだがここからは見えない

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急な坂を登っていくと真っ赤なナナカマドの向こうに唐沢岳が見え始めた

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黄色のダケカンバやオレンジ色のナナカマドと緑色の這松が絵具のキャンバスの様に見える

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見事に3色に塗り分けられた木々の上部に切立つ山稜、そしてそのコルには穂高岳山荘の建物が見えた

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赤い実を付けたナナカマド

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登山道に高くたつ一本の黄色いケカンバが青空に映えて見える

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こちらはナナカマドと青空のコントラストが美しい

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赤からオレンジ、緑と様々な色が同居しているナナカマド

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涸沢ヒュッテに到着すると、何時か写真で見た風景が広がっていた

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涸沢カールには僅かな雪渓が残っていた
今が一番残雪の少ない時期、もう少しで寒い冬が訪れるとまた雪に覆われるのだ

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ヒュッテのデッキはこの景色を見る人で賑わっている

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我々もデッキに座って名物のおでんとビールを頂くことに
この景色を見ながらのビールの何と美味しい事!
そして勿論、おでんも最高!

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ヒュッテの前にあるナナカマドもすっかり色づいていたがピークは先週だったとか
涸沢の紅葉のタイミングはどうもここにあるナナカマドの色づきを基準にしている様だ

涸沢を登ってくる時、高度を上げるに従って紅葉が徐々に進んできていたので
ヒュッテの紅葉がピークを過ぎても暫くは楽しめるだろう

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紅葉の中に溶け込んだ様に佇む涸沢小屋

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穂高岳山荘とザイディングラード
ザイディングラードと北穂南稜ルートには多くの登山者が並んで登っていた
上から見た景色も素晴らしい事だろう

我々は北穂往復をやめて、パノラマコースから屏風の耳へ登ってみる事にした

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ヒュッテの前からパノラマコースへと進む

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暫く進むと涸沢ヒュッテと手前の紅葉が見渡せる好ポイントに着いた

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空を広く写すと一筋の飛行機雲が横切っていて青い空が美しかった

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パノラマコースに入って暫くは危険なトラバース道が続く
景色が良いと思っても気を抜いてはいけない

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急なトラバースを歩いていると黄色のダケカンバの先に槍ヶ岳の穂先が見え始めた

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進行方向に見える尖峰は屏風の頭だろうか

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屏風のコルへ上がると、南側遠方に富士山のシルエットが見えた

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目の前の稜線には蝶ヶ岳ヒュッテが見える

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更に東を見ると美しい常念岳も見えた

このあと新村橋へと下る分岐を直進すると屏風の耳へと至る
頂上は少し狭く、数人の登山者で一杯になる程度だが何しろ展望が素晴らしかった

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3000m級の前穂高、吊尾根、奥穂高、涸沢岳の高峰が涸沢をぐるっと取り囲んでいる
特に足元から北尾根が伸びて前穂高に繋がる雄大な風景は、ここ屏風岳ならではのものである

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こちらは横尾尾根を挟んで聳える槍ヶ岳
槍ヶ岳山荘や殺生ヒュッテも見える

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少し離れているが涸沢のテントや紅葉の様子が良く見えた

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一番手前の北穂高岳からキレット、南岳~槍ヶ岳まで全ての主稜がずらっと並ぶ景色は壮観だった
あまりの素晴らしさにかなり長い間留まっていると、次々に登ってくる人たちと出会った

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とても1枚の写真では撮りきれない風景なので、パノラマで撮ってみる(クリックで拡大)

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みんな入れ替わり立ち替わり涸沢と穂高をバックに撮影した

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屏風の頭へ向かう途中の誰も居ないピークまで行ってみた

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下山を開始、先程通過した分岐を左折して徳沢と横尾の間にある新村橋へ向かった

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眼下には横尾山荘が見える

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少し下ると上部には屏風の岩の壁と林立する紅葉したダケカンバが見えた

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長いトラバースを繰り返しながら徐々に高度を下げる

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長いトラバースがいいかげん嫌になった頃ようやく新村橋に辿りつく

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上高地から横尾へ向かう道に出た

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途中、上を見上げるとうろこ雲が綺麗だった

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横尾に戻るとテント場が満杯になっていた
今日の絶景を見た時の話をしながら旨いビールで祝杯をあげた

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次の日も天気が良い中、梓川の畔を上高地まで戻り午後のバスに乗った
満足度の高い山行だった

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