早春の丹沢(塔ノ岳~鍋割山)

2018年4月10日 早春の丹沢(塔ノ岳~鍋割山)

西丹沢の峰々の上に突出る富士山。私にとって何度訪れても気持ちがいい大好きな景色である。

強風の日が多いこの季節、この日だけは風が止むというので急遽地元の丹沢 塔ノ岳から鍋割山を一人で歩いてきた。

山道を歩き始めると淡い色の新緑の木々の間から吹き抜けてくる風や、清流の上を撫ぜてくる風が頬に当たるとほんのりとした春の香りを感じて晴れやかな気持ちになった。
中腹まで来ると山桜やトウゴクミツバツツジ、アセビなどが見頃を迎えていて目を楽しませてくれた。

そしてこの時期、鍋割山稜から見える丹沢主脈の山々は新緑に彩られて美しく、鍋割山頂の草原に座って西丹沢の山並みの上に突き出る富士山の景色をぼーっと眺めるのが私は大好きである。

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4月に入ってから毎日の様に強風が吹き荒れていて中々山へ行こうという気になれなかったのだが、昨夜の天気予報によれば今日だけは無風快晴になると言うので急遽山へ行こうと思いついた。

西丹沢へミツマタでも見に行こうかと思ったりしたが既に盛りを過ぎた様子なので登り慣れた塔ノ岳と鍋割山を周回する事にした。

朝6時過ぎに家を出て渋沢から県民の森を目指した。


車止めの手前にある駐車場には県外からの車を含め既に数台の車が止まっていた。

準備を始めると埼玉方面からの車が来て二人の若い女性が降りてきたので挨拶を交わし、準備が終わると直ぐに出発した。


林道をのんびり歩き二股の少し先まで来ると、塔ノ岳方面への分岐があるのでこれを右折して小丸尾根へと入った。


この尾根は最初から急登だが東側から差す朝日で輝く新緑の木々に励まされる。


ぽつぽつと咲くトウゴク三つ葉ツツジが彩を添えてくれる。この花を見ると山に春が来たと感じるのだ。


更に標高1000m付近まで来ると山桜が迎えてくれた。控えめで清楚な山桜は毎年見たくなる大好きな花だ。


この辺りまで登ると鍋割り山稜の肩から富士山が顔を出した。適度に雪をかぶっていて美しい。


道端には沢山の可愛いアセビの花が咲いていて気持ちが和む。

結構きつい登りだったが花に勇気づけられながら何とか稜線へと出ることが出来た。


塔ノ岳を目指して大丸と金冷やしを過ぎると一旦急降下して登り返さねければならない。

後から来た若い女性にあっと言う間に抜かれてしまった。平日なのに若い女性が多い事にビックリする。


丹沢名物の木段をゆっくり登ると尊仏山荘がある山頂に到着した。


流石に山頂に人は少なく、先程抜かれた女性に写真を撮って欲しいと頼むと屈託のない笑顔で答えてくれてとても気持ちが良かった。


北側を見ると左側に並ぶ丹沢主脈とその奥から西へと並ぶ主稜の山々が良く見えて何だか馴染みの知り合いと久しぶりに会ったような気分だ。


こちらは歩いてきた鍋割り山稜方面の山々が並ぶ。


残念ながら富士山には雲がかかってしまった。

南側には三ノ塔や大山方面の先には相模湾に浮かぶ江の島が見えたが逆光で写真にはならなかった。
まだお昼には少し早かったが、こんな景色を見ながらおにぎりを一つほうばってから先程来た道を引き返す事にした。


鍋割りの稜線は歩き易くて気持ちがいい。

金冷やしへの登りに差し掛かる時、反対方向から塔ノ岳を指さして騒ぎながら二人の女性が下ってきた。
すれ違う時に聞くと、塔の岳があまりに大きく見えるので登り返しが厳しいのではないかと心配しているらしい。
私も同じ様に感じたが実際は思った程ではなかったので「楽勝と言ったらウソになるけど、見た目程きつくないから大丈夫ですよ!」と言うと、少し安心した様だ。
この時漸くこの二人は朝方駐車場で挨拶した埼玉ナンバーの二人である事に気が付いた。聞けば私と同じ小丸尾根を登ってきたそうだが登り口の分岐を見落として迷い、大幅に遅れてしまったという事だった。
まあ時間は十分にあるし、この先道に迷う所は無いと思うのでお気を付けてと言って別れた。


途中、木々の間から丹沢主脈の峰々が見えた。中央やや左から最高峰の蛭ヶ岳、中央が棚沢の頭と丹沢山、少し離れてさっきまで居た塔ノ岳だ。


そうこうしている内に鍋割山荘が見えてきた。気持ちが良かった稜線歩きももうおしまいだ。


久しぶりに来た鍋割山荘。名物鍋焼うどんも好評な様子で小屋の前の休憩所でも殆どの人が食べている。

私は小屋の西側に広がる斜面に腰を下ろして休んでいると、近くのテーブルで鍋焼うどんを食べていた数人の叔母さまたちが頻りに騒いでいた。
どうやら一遍に沢山注文したので小屋のご主人に文句を言われた様だ。注文した客に文句を言うとはけしからんという訳である。確かにその通りだが今日は平日だからきっと何時も居るアルバイトが居なかったのだろう。この小屋の主は何時もは静かで優しい人だったはず。だがどちらにせよ小屋の主にとっては分が悪い、せっかく築いた名物の鍋焼うどんに不名誉な噂が立っては勿体ないというものだ。


富士山を見ると上部を除いて裾野の部分は雲に覆われていて、何だか宙に浮いている様に見えた。


二人仲良く富士山を眺めながらお昼を食べている姿が何とも言えず絵になっていた。

私も大好きなこの場所で一時間程の昼休憩をして景色を楽しんだ。因みに私は鍋焼うどんは量が多過ぎるので最近は食べない事にしている。


鍋割り山稜を下って行くと登りの時より沢山の山桜が咲いていて楽しめた。
色の少ない山道でこんなに美しいピンクの花が咲いるのを見ていると心から癒される。


こちらはあまり見かけない桜だ、真っ白で綺麗な花が印象的だった。


登山道のあちらこちらで群生していたタチツボスミレ。紫の色が濃くて生き生きとして見える。


更に下ると沢山のミツバツツジが咲いている。


斜面に咲いている事が多くなかなか至近距離で撮影出来ないが、この木はたまたま登山道沿いに咲いていて綺麗だった。


後沢乗越まで来ると、左に折れて二股を目指す。


標高が下がるにつれてミズヒ沢から本沢にかけての沢の道や渡渉が多くなる。しかし沢と言っても水量が少ないので濡れる心配はない。


最後は単調な林道歩きとなるが道の両側の緑が綺麗で気持ちが良かった。


途中、凄く綺麗な花に出会った。よく見かける花だが名前が分からない。


二股に着くと県民の森まであと一息だ。


漸く駐車場に戻ると満杯状態となっていた。

急遽歩く事になった馴染みのコースだったが、あちこちで「山笑う丹沢山」という風情の景色が見られて嬉しかった。
5月を過ぎれば暑くなりヒルも出てくるから、私は歩かない。だから今の時期の丹沢での山歩きは貴重なのである。

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<今回のルートと所要時間>
県民の森(7:05)→二股(7:25)→小丸尾根→鍋割山稜合流点(9:25)→塔ノ岳(10:05-10:30)→鍋割山(11:30-12:10)→後沢乗越(12:55)→二股(13:30)→県民の森(13:50)

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