2012年9月14-16日 南アルプス 荒川岳~赤石岳縦走(前半)

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雲の中から出現した赤石岳  中岳から荒川小屋に向かう道中にて

今週末、S脇君と一緒に南アの荒川岳から赤石岳を周回してきた
昨年7月に聖岳を訪れた時、赤石岳へ周回しようとしたが体調不良により断念し上河内岳方向に進路変更した
その時聖岳の頂上から見えた赤石岳の雄大でどっしりとした山容は、ずっと2人の頭の中に残り
以来、赤石岳はS脇君と共に近い内に必ず再訪したい存在となっていた

昨年の記事はここ→<南アルプス 聖岳~上河内岳(第1話)>

出発早々ちょっとしたハプニングがあった
本来2泊3日で聖岳~赤石岳を縦走する予定だったが、
朝8時の東海フォレストのバスに乗り遅れてしまったのだ

相談の結果、第2便の12時のバスで椹島に入って前泊し
ルートを変更して荒川岳~赤石岳を1泊2日の日程で縦走する事になった
縦走1日目は天候が思わしくなく雲が多く残念だったが
幸い2日目の赤石岳の登頂時は快晴に恵まれ、素晴らしい展望を得る事が出来た

赤石岳頂上から富士の雄姿や中央、北アルプス、そして故郷丹沢までに及ぶ遠方の山々が見渡せたことは
昨年からの二人の思いを晴らすには十分な喜びとなった
またこの縦走では偶然同じハプニングに見舞われた名古屋方面から来られた単独の女性と一緒になり
道中たびたび共に歩く機会があり、色々なお話も聞く事ができた

そして何よりこの方の頑張って歩く姿は、我々の励みとなっただけでなく
少し大げさな表現かもしれないが、
登山に対する姿勢や考え方に少なからず影響を齎されたように感じる
机上では1泊2日で歩けると目論んだものの、
実際歩いてみると自分の体力ではかなり厳しい行程だった

南アルプスという山域には、雄大な山々に憧れて幾度となく訪れているのだが
その度ごとに、自然に対する無力さを痛感させられてしまう
しかしそんなところが南アの最大の魅力なのかも知れない

<今回のルートと時間>
9月14日 : 椹島ロッジ泊
9月15日 : 椹島ロッジ(4:45)→千枚小屋(10:45)→千枚岳(12:15)→丸山(15:15)→悪沢岳(14:00)→中岳避難小屋(15:15)→荒川中岳(15:25)→前岳(15:40)→荒川小屋(17:00頃)
9月16日 : 荒川小屋(4:20)→小赤石岳(6:08)→赤石岳(6:45,7:15)→赤石小屋(9:25)→椹島(12:40頃)

***** <9月14日 椹島ロッジ泊> *****

14日の早朝4時に平塚を出発、新しく出来た第2東名に乗って一路畑薙第一ダムへと向かったのだが
初めて通った道を何度か迷いながらのS脇君の必死の運転空しく
到着したのはバスの出発時刻15分過ぎだった

平日にも拘らず、広い駐車場の半分以上を埋め尽くす車が静かに佇んでいる姿が空しく感じられた
暫く思案に暮れている内に、2台の車が次々と駐車場に到着してきた
彼らも途中道で迷って遅れてしまったようだ

暫くすると大型車で来た2人は林道から茶臼小屋へ登り、聖岳、赤石岳方面へと向かった様子である
我々は、椹島に1泊して明日から2泊3日で当初予定通りのコースを歩くつもりでいたが
名古屋方面から来たという女性(仮称Aさん)は、荒川岳、赤石岳を1泊2日に短縮して歩くと言う

我々も他に何か妙案は無いかと考えたのだが、
週末から来週にかけてだんだん悪化する天候も考慮しなければならない
議論の結果、結局我々もAさんの案で行く事にしたのだった

椹島ロッジでは所謂ロッジではなく山荘と呼ばれる離れに泊まった
長て方向中央に土間の通路があり、両側に寝床が並ぶ山小屋風のかなり古い建物だったが
宿泊者は我々の他に1名のみで、とても快適に過ごせた
外には広大な芝生のテント場があって、真新しいトイレと綺麗な炊事場が併設されていた
テントは釣り師と思われる人と登山客の2張りしかなく、炊事場は殆んど使い放題だった

山荘の横には「貸しロッカー室」もあり、
前泊や登山後の着替え、お風呂セットなどの荷物を預けておく事も出来る
ここではバスを利用すると山小屋での1泊が義務付けられるという変なルールがあるが
テントを持参して前泊後ロッカーに預けて、山では小屋を利用すればとても経済的である
この日は午後から雨となった事もあり、お風呂に入ってノンビリ過ごした
次の日は長丁場だから7時過ぎには寝てしまった

***** <9月15日 椹島ロッジ~荒川岳~荒川山荘 晴れのち曇り> *****

朝4時頃起床、朝は晴天だった
軽い食事の後、4時45分 まだ暗いのでヘッドランプを付けてロッジを出発
歩き始めてすぐAさんに追いついたので一緒に千枚小屋に向かった

しばらくすると明るくなって青空が広がり始めた
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山間から千枚岳が見える
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朝の木漏れ日の中を歩くのは気持ちがいい
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次第に高度を稼ぐと稜線が見え始めた

千枚小屋に近づく頃、
トリカブトと並んで、ちょっと色が薄いトリカブトそっくりの花サンヨウブシが沢山群生していた

 


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歩き始めて6時間後 漸く千枚小屋に到着した

3人ともとてもお腹が空いていたので小屋の前のベンチで昼食となった
千枚小屋は新築でとても綺麗だった
小屋の前にメモ書きがあり、本日の宿泊予定は172人と書かれていて驚いた
確か定員は100人程度だったはず・・・

先は長いので食事も早々に出発した
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暫くは綺麗なダケカンバの林の平坦な道が続いた
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千枚岳に到着

森林限界を超えて標高が高くなると、次第に高山植物が見られる様になった
夏の花は既に終わりに近い感じだが
それでも沢山の種類を目にする事ができた
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タカネビランジ
せっかく名前を教えてもらったけど、すっかり忘れてしまった
はて、タカネビランジで良かったのだろうか?
もう殆ど咲き終わりで数が少なかったのが残念だ
この花が群生して咲いていたら、さぞ綺麗だったろうに・・・


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稜線の右半分は雲で埋まってしまった
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山の斜面には9月半ばだとは思えないほどのお花畑が広がっていた

トリカブト、ナデシコ、マツムシソウ等の紫色の花が沢山咲いていて豪華な花園という感じだ
夏の盛りにはさぞ凄かったのではないだろうか

南アは何処に行っても花が豊富なのも魅力の一つだ
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オオサカモチの隣りにマツムシソウも咲いている


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丸山への登りは見かけよりきつかった
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丸山山頂


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悪沢岳へ向かう途中から険しい岩場となる

この辺りからAさんは自分のペースで小休止しながら進んだため
我々とは次第に離れてしまった
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悪沢岳山頂にて

この時期は風が吹くと結構寒い感じだが、歩けば暑く調節が難しい
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中岳方面へはまだまだアップダウンが続く
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南側の眼下には赤石方面へ続く沢が見える

険悪な雲が沸き立ってきたが幸い雨は降ってこなかった
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最後の力を振り絞って中岳を登った

最後のピークを右にトラバースぎみに登りつめる
もう少しで山頂かと思ったとき、突然中岳避難小屋が見えた
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中岳避難小屋

小屋の中から沢山の人の声が聞こえていたが
既に15時を過ぎていたから、そのまま素通りして先を急いだ
そこから10分も歩くと、荒川中岳頂上の標識が立っていた
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荒川中岳頂上

16時、中岳と前岳のコルにある分岐に到着
前岳が一つのピークを越えた向こう側に聳えて見えた
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荒川前岳と赤石岳方面への分岐

私は結構疲れていたし、荒川小屋の到着時間も気になっていた
はるか前方の前岳へは行く気がしなかったので、S脇君だけ行ってもらう様に言ったのだが
僅か15分程の距離だと言われて、それならばと行く気になった
地図を見ると確かに近かったが、前方に聳える前岳はとても遠く感じた

分岐にザックをデポして空身で歩き始める
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荒川前岳頂上
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前岳の頂上から南側半分は大きく崩落した崖状となっていた

このまま崩落が続けば早晩前岳の頂上は無くなってしましそうだった
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西側には険しい岩場の稜線が続いていた

分岐に戻ると右側に前岳の大きなシルエットが見えた
さあ、いよいよ分岐を荒川小屋へと向かおうとした時だった
Aさんが中岳を下って分岐に到着したのだ
中岳避難小屋で暫く休憩したら元気が出てきたらしく、荒川小屋まで行く事にしたそうだ
Aさんの頑張りに敬意を表したい気持だった

この時、目の前に聳える赤石岳は雲に覆われていて全貌は見えなかった
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足元を見ると、今日初めて見つけたハクサンイチゲの花が咲いていた

夕暮れに近づくなか、再び3人でもくもくと歩く
中岳からの長い下り坂を下っていると、

だんだん天候が晴れてきて赤石岳や荒川小屋が見え始めると元気が出てくる
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夕日に照らされ始めた赤石岳と右の中腹の影の中に見えた荒川小屋
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赤い屋根の荒川小屋がはっきり見えた
ここまで来ればもう直ぐだ
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すっかり雲が消えて雄大な赤石岳が現れた
荒川小屋が見えて安心したこともあり
最後の下りを前に、坂の途中で暮れる赤石岳を見ながら3人で小休止する
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振り返ると中岳の上の空も青空に変わっていた
どうやら天候が急速に回復しているようだ
荒川小屋に到着したのは恐らく17時過ぎだったと思う
この小屋も新築したばかりで凄く綺麗だった

小屋の中に入ると丁度夕食の時間らしく、カレーの良いにおいがした
我々素泊まり組み2人は別棟の倉庫の様な小屋に泊まる事になった
倉庫といっても、ロフト付の8人程度収容出来ると思われる綺麗な小屋である
部屋の奥には既に二人の若者が休んでいたので我々は入口付近に寝床を作った
後でS脇君が聞いたところによると
若者の一人は我々と同じコースを約6時間で走破してきたそうである
我々の2倍のスピードで歩いてきた事になる
いくら若いと言っても驚きの速さである
しかも明日は赤石岳を越えたあと、光岳まで行きたいので
3時起床、4時には出発すると言う・・・・もはや次元が違う世界だ

我々も明日の14時のバスに乗る必要がある
明朝4時半には出発するつもりで早めに就寝することにした
夜半に目が覚めて外に出てみると
最近見た事が無いほどの星空が見えた
何時までも見ていたいほどの星空だったが
明日の登頂に期待を膨らましながら寝床に戻った

南アルプス 荒川岳~赤石岳(後半) に続く・・・・・