白峰三山(前編)
2011年8月27-29日 白峰三山(前編) 同行者:S脇君
南アルプス南部の聖岳や上河内岳がとても素晴らしかったのですっかり気に入ってしまい今度は何処にしようかと話し合っていたが、やはり北岳は外せないという事になって今年の南アルプス第2弾は白峰三山に行く事になった
北岳と言えば人気の山だから、少しは登山者も減ってくるだろうと予測して夏の盛りを過ぎた8月末に2泊3日で縦走する事にした
残念ながら雲が多くて眺望はいまひとつだったが、2日目に歩いた北岳、間ノ岳、農鳥岳の3000m級の山々の縦走では、南アルプスの雄大なスケール感を存分に味わう事が出来た
8月末という時期だからもはや花の盛りは終わっていて、北岳頂上周辺では流石に花の数も少な目だったが、山の中腹では思いの外沢山の花が咲いていて、その種類の多さには本当に驚かされた。今度は北岳草の咲く7月の初頭か花の盛りである8月始め頃に是非再訪してみたいと思う
<今回のコースと時間>
1日目(8月27日):奈良田(9:10)-バス-広河原(10:00)→大樺沢二俣(右俣コースへ)→小太郎山分岐(14:40)→北岳肩の小屋(15:30) 泊
2日目(8月28日):北岳肩の小屋(6:00)→北岳(6:35-7:10)→北岳山荘(8:05)→中白峰(8:50)→間ノ岳(10:05)→農鳥小屋(11:10)→農鳥岳(13:15)→大門沢下降点(14:00)→大門沢小屋(16:30) 泊
3日目(8月29日):大門沢小屋(6:15)→奈良田(9:30) 奈良田の里温泉入浴後、本栖湖経由で帰る
前夜は激しい雷雨となり心配したが27日の早朝には雨も上がっていた。5時に平塚を出発、何時もの様にS脇君の運転で途中東名高速富士川SAで朝食を食べ、約3時間半後には奈良田に到着した
奈良田9時10分発、広河原行きのバスに乗ると乗客は我々だけだった
10時頃広河原に到着すると早速肩の小屋を目指して大樺沢に沿って登り始めた
広河原の標高は1520m、肩の小屋が3010mだから約1500mの登りである
今回は小屋素泊まりの予定で3日分の食料を詰めてきたので荷物の重量は10Kgを越えてしまった
焦らず一歩一歩確実に登ろう
1時間も登った頃、山道に色々な花が出迎えてくれた
本当に種類が多くて写真を撮りながら登るから中々進まない
それでも2時間程度で二俣に到着すると
色鮮やかなウエアを着た若者が沢山休んでいて、明るい雰囲気に包まれていた
前回の聖岳の時に比べて若者が多いのは、北岳が色々なメディアで取り上げられている為なのかも知れないが、雨で暗くなりがちな雰囲気を明るくしてくれるのは良い事だ
我々も隙間を見つけて昼食にすることにした
上を見上げると、8本歯のコル方面は切り立ったゴーロの斜面が続いていたが、
上部は雲に覆われていて良く見えなかった。パーティ毎に左俣か右俣コースに分かれて登って行く
暫くして誰も居なくなった頃我々も出発しようと立ち上がった、
先ほどのバスの空き方からして、どうやら我々が最後尾らしい
更に2時間も急登すると漸く尾根に出たが、相変わらず厚い雲があってあまり展望は良くない
小太郎山分岐から小太郎山側の斜面に出ると、
ミヤマコゴメクサの可愛らしい小さな花が沢山群生していて綺麗だった
ミヤマコゴメクサの群落
小太郎山
小太郎山方面を見に行ったS脇君
小太郎山は天気が良ければ甲斐駒、仙丈、北岳に囲まれた絶好のビューポイントとなるだろう
それでも周辺の山々の尾根が見えて雄大で優しい山容の南アの雰囲気がちょっぴりだけ味わえた
またこの辺りは高山植物の宝庫らしい、次回来た時には小太郎山まで是非行ってみたい
小太郎山分岐からは緩い傾斜の尾根が続き、程なく肩の小屋に到着した
小屋に着くと小屋前の長いベンチには多くの人が休んでいて賑やかだった
肩の小屋
小屋のすぐ下のテント場
既にテントで一杯だった。テントで来る時には早めに着いていないと良いスペースが無いかも知れない
テント場の周辺にも花が沢山咲いていた
受付を済ませると我々は別館の1Fが割り当てられ若い女性が部屋を案内してくれた
女性はとても闊達で明るく話をしてくれたので、とても気持ちがいい
今日の混み具合を聞くと、何時もより空いている方だと教えてくれた
彼女の説明の通り、別館には夜になるまでに数人のパーティが来ただけだったから、
1Fのスペースは半分程度しか埋まらず、一安心だ
今日は弱い雨模様の1日だったから衣服が湿っていて寒い
流石に3000mの標高だけあって夜になると更に冷え込んできたので、
用意されていた寝袋に入るが、これも何となく湿っていて温まれなかった
部屋は空いているから周囲の毛布をかき集めて漸く眠りについたのだが、
テント泊のことを考えれば贅沢は言えないだろう
<2日目>
早朝目が覚めると、外は霧雨
計画では2日目は長丁場だったが、冷たい霧雨が降っていてとても早出する気分にはなれなかった
それでも雨の中を5時頃から出発していく人々もいる
我々も5時頃には本館の食堂脇の大きな飯炊き釜の前で自炊を始めた
かなり古い大きな黒い釜は貫禄があって、今は使われていないそうだ
昔、この釜で炊いた美味しいご飯を食べて逞しく北岳に登る人々の姿が偲ばれる
朝食を食べると体も温まり、6時頃には出発の準備が整った
小屋の外はまだ霧雨が降り続いていた
真っ白で北岳は姿も形も見えない
足元だけ見つめながら30分ほど登ると、雨も止んで待望の青い空が出てきた
北岳山頂には既に人が沢山いる
こうなると一気に気分も晴れやかになってくる
一緒に登っている周囲人々からも元気な声が聞こえはじめた
間ノ岳、農鳥岳方向の尾根に北岳山荘が見えた
遂に北岳頂上に到着
何故か分からないが何だかとても感動的な思いがした
空は晴れて眼下には何処までも続く雲海
美しい景色が広がっている
雲海の向うに富士山が見える
北岳の標柱の向うに仙丈ケ岳が顔を出した
甲斐駒ケ岳側は雲に覆われて良く見えない
頂上では360度、あちこちの景色を楽しんだり写真を撮ったり、
雲海の上に突き出した山々の山座同定をしたりした
特に西から北側にかけて中央アルプスや北アルプスの高峰が美しかったのだが、
あいだにある御嶽山と乗鞍岳についてS脇君と自分の意見が食い違っていた
5月に乗鞍岳から見えた御嶽山はすぐ近くに聳えていて、富士山の様な美しい独立峰に見えたのだが、
今日、中央アルプスのすぐ後に見える大きな山は連山の様になっていて、
しかも北アルプス連邦とはかなり距離があったので、自分にはあれが御嶽山とは思えなかった
中央アルプスと御嶽山
早速地図で同定すると、
S脇君の言う通り中央アルプスのすぐ北側にある横に広くどっしりとした高峰が御嶽山で間違いは無く、
遠く北に離れた山域が北アルプス連峰である事が分かった
見る位置によって、同じ山とは思えない程形が違って見える事は良く経験するのだが、
二つの山の距離感もこんなに異なるものなのだろうか・・・・
40分程も景色を楽しんだあと北岳頂上を後にした
<お願い>
北岳周辺には初見の花がとても多く、記述した花の名前に自信がありません
間違い等ありましたら、コメント頂けると助かります
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